県と袖ケ浦市は、2017年度の分譲開始を目指している袖ケ浦椎の森工業団地の整備方針をまとめた。団地の開発に当たっては開発テーマを「人と自然が調和する高付加価値型産業の拠点」と位置づけ、雇用創出効果や付加価値が高い研究開発型企業、流通加工業等の立地基盤を整備するほか、京葉臨海コンビナートに集積する素材型産業や、かずさアカデミアパークに立地する研究開発型企業等と連携したマザー工場や関連企業など、付加価値の高い生産拠点の立地基盤を整備する。
具体的な導入業種では、食料品、化学工業、石油・石炭製品、金属製品、業務用機械を選定。物流拠点の条件であるICへのアクセスの良さなどから「物流・倉庫施設」の立地も想定。さらに、工場敷地内及び工場用地の一部に購買施設等の店舗や飲食店等の立地も想定する。
基本方針を受けた土地利用については、できるだけ平坦で広い土地を確保するよう造成するとともに、良好な樹林地や斜面地などを積極的に保存するとともに、計画地区北側の自然環境保全緑地を動植物の生息圏保全ゾーンと位置付け、多種・多様な生物が育成・生息する里山的環境との調和を図ることとした。
同団地の整備は、茂原市の茂原にいはる工業団地とともに県が12年3月に整備を決定したもので、昨年度から整備に向けた具体的作業に着手した。昨年度は千代田コンサルタント(千葉営業所・千葉市中央区栄町42―11)に委託し基本設計をまとめた。
本年度は実施設計に着手する予定。県の当初予算には設計費1億285万円のほか、環境影響調査、埋蔵文化財調査など関係調査費3億4014万円など総額5億900万円の事業費を措置した。
本年度の実施設計は県君津土木事務所が発注する予定で、設計完了後、15年度から造成工事に着工する。工事は15~17年度の3か年で実施し、17年度に分譲を開始する予定。また、袖ケ浦市は団地の開発に伴い地区計画を導入する計画で、準備を進めている。2期地区の開発面積は約50・4ha。総事業費は約49億円を見込む。
整備方針による土地利用方針は次の通り。
【土地利用方針】
▽分譲用地は、企業の要望に応える自由な区画割りを可能にするよう、できるだけ平坦で広い土地を確保するよう造成する。また、工場敷地と道路との高低差を極力少なくなるよう配慮する。
▽立地企業は、今後成長が期待される医療品製造業や医療用機械器具製造業、食料品製造業などの製造業に加え、多くの雇用を生む加工機能等を持った物流業を想定する。なお、製造業については、地域の活性化や企業のイメージアップにつなげるために、工業団地内事業所で製造・加工する製品等を販売する店舗や飲食店にも柔軟に対応できるようにする。
▽計画地区及び周辺の良好な森林景観の保全及び環境保全対策の観点から、保存すべき良好な樹林地などは積極的に保存するとともに、計画地区北側の自然環境保全緑地を動植物の生息圏保全ゾーンと位置付け、多種・多様な生物が育成・生息する里山的環境との調和を図る。
▽計画地区と地区外との連絡は、計画地区西側に接する県道上高根北袖線(W11m)、及び開発区域東側に接する市道代宿横田線によって行うこととし、取付個所を県道には既整備済の1か所、市道に1か所設ける。
▽計画地区の最下流部に位置する既設の洪水調整池に自然流下が可能となるような道路パターンとする。