【総括】
今月の調査結果をみると、10品目の建設資材の内訳は、4品目上伸、1品目下落、5品目が不変となった。素原材料価格が値上がりするなか、供給側は秋需入りを背景に製品価格への完全転嫁を意図して販売姿勢を一段と強めている。このため、地合基調は引き締まり傾向にあるが、価格交渉は公共工事減少や、受注競争に伴う工事採算悪化に喘ぐ需要家側の抵抗が強く、もみあい状況にある。資材別に概観すると、異形棒状は、原材料の鉄くずが下落しているものの、先行きの反騰懸念や、需給環境に緩みがないこと等から、供給側の販売姿勢が強く、価格はじり高基調の展開。線材製品は、なまし鉄線、鉄丸くぎともの前月比変わらず。線材の供給量は依然として絞られていることから、市況は強基調のまま推移している。レディーミクストコンクリートは、3月末までに駆け込んだ物件の交渉が概ね旧価格で決着した。今後、新規分の交渉が注目されるが、需給双方隔たりが大きく、目先市況は横ばいの様相。再生クラッシャランは、前月比変わらず。荷動きは低調で需要に回復の兆しはみられない。メーカーは、在庫調整を図っているが、出荷が低調な状況のなかで効果は薄い。木材のうち、杉正角は横ばい推移。需要家は小口当用買いに徹しているが、流通筋も仕入れ量を調整しているため、需給は均衡している。コンクリート型枠用合板は、7月の輸入量が目安となる40万立方mを4箇月連続で上回る事態となり、市中の荷余り感は依然として強い。このため、価格は小幅安となった。アスファルト混合物は、前月比変わらず。メーカーはストアス価格の上昇を受け、9月出荷分から値上げを打ち出しているが、需要家の大半は模様眺めの様相。電線は、民需が堅調で例年並みの水準。流通筋が8月上旬に打ち出した販売価格の引き上げは、中旬までに浸透。その結果、IV1・6mm単線で小幅上伸。ガス管は、白ねじ付き管50Aで小幅続伸。メーカーの供給量が減少していることから、市中の品薄感は依然として強い。燃料油は、国内大手元売りが9月の仕切り価格をリットル当たり4円前後に引き上げた。大幅な引き上げのため、販売価格への転嫁を強気に進めている。このため、中間3品(ローリー)でリットル当たり1円、ガソリン(スタンド)で2円上伸した。
【異形棒鋼】~続伸し、なおジリ高の市況展開~
SD295A・D19でトン当たり60、000円と前月比1、000円の上伸。原材料の鉄くずが下落しているものの、メーカーは先行きの反騰懸念から、売り腰に緩みはない。鉄くずの先行き動向に不透明感が強いことや、需給環境に緩みがないこと等から、今後もメーカーの販売姿勢が軟化する気配はみられない。原材料安を背景に需要家の抵抗が予想されるが、メーカー主導の市況展開のなか、流通筋は成約価格引き上げを押し進める意向にある。目先、供給側の強気姿勢を映し、ジリ高基調での展開が予想される。
【線材製品】~価格横ばいも強基調推移~
なまし鉄線は4mmでトン当たり92、000円、鉄丸くぎのN100も同92、000円といずれも前月比変わらず。現時点では需要は少ないが、線材の供給量は依然として絞られていることから、製品需給は引締まっており、市況は強基調のまま推移している。秋需の本格化を迎え、荷動きが上向いてくるにつれ、需給のタイト感は更に強まるとみられる。流通筋では価格優先の販売姿勢を強めており、目先、横ばいながらも強含みで推移するとの見方が強い。
【レディーミクストコンクリート】~横ばい推移~
7月の出荷量は約52万1千立方m(東京地区生コンクリート協組調べ)と前年同月比25.5%増。これは港・品川地区等都心部の大型再開発物件向け出荷が順調なことが主な要因。3月末までの駆け込んだ物件の価格交渉はほとんどが旧価格の立方m当たり11、200円で決着した。今後は新規引き合いについての価格交渉が注目される。販売筋は同協組の結束力、販売実績から安易に値引き要求には応じないとしているが、今後の価格を巡っては需給双方隔たりが大きく、当面市況は横ばいで推移しよう。
【再生砕石】~荷動き低調、横ばい推移~
再生クラッシャラン40~0で立方m当たり1、500円と前月比変わらず。旧盆明け以降も、荷動きは低調で需要に回復の兆しがみられない。しかし、都内の解体工事から発生する廃材の量は高水準で、製品在庫が過剰気味なプラントが多い。再生材メーカーは、廃材の受入制限を行い、在庫調整を図っているが、出荷が低調な状況のなかで効果は薄い。また、在庫処理を急ぐメーカー間の競合が依然として続いているため、先行き市況は弱含み横ばい推移の公算が大きい。
【木材】~前月比変わらず~
杉正角(特1等3m×10.5×10.5cm)で立方m当たり40、000円と前月比変わらず。旧盆明け以降、官民ともに工事量の回復はみられず、需要は盛り上がりを欠いている。このため、需要家は小口当用買いに徹し、様子見姿勢を崩していない。一方、流通筋では仕入れ量を調整しており、需給は均衡している。今後、台風による倒木被害の影響から原木出材量が減少し、製品のタイト感が強まることが予想される。しかし、需要の回復見込みは薄く、先行き、市況も横ばい推移の公算が大きい。
【コンクリート形枠用合板】~荷余り感強く、価格続落~
7月の輸入合板入荷量は約45万立方mと、目安とされる40万立方mを4箇月連続で上回る事態となり、市中の荷余り感はなお強い。このため、価格は12×900×1、800mmラワン輸入品で枚当たり880円と前月比10円の続落となった。現在、商社は高水準の在庫を抱えているが、9月に入荷する製品も現地価格が高値で推移しているため、輸入コストは依然として高い。今後も需要家の厳しい購入姿勢が続くものとみられるが、商社の採算価格維持が強いため、先行き、市況は横ばい推移の公算が大きい。
【アスファルト混合物】~前月比変わらず~
7月の出荷量は約34万トン(東京アスファルト合材協会調べ)と前年同月比6.2%の増加。価格は密粒度13でトン当たり6、800円と前月比変わらず。メーカー各社はストアス価格の上昇を受け、9月出荷分よりトン当たり300~500円の値上げを打ち出している。需要家側には一部受け入れの動きがみられるが、大半は、模様眺めの様相。今後、ストアス再値上げも予想され、メーカーは強い売り腰で交渉を続ける模様。しかし、需要家の購入姿勢も依然として厳しく、目先は横ばい推移の公算が大きい。
【電線】~市況小幅上伸~
電線類の荷動きは、官需に精彩を欠くものの、民需が堅調で例年並みの水準。また、8月初旬からトン当たり37万円で推移した国内電気銅建値は、中旬に36万円になったが、依然高水準である。こうした状況下、流通筋が、8月上旬に打ち出した販売価格の引き上げは、中旬までに浸透。その結果、IV1.6mm単線でm当たり12.3円と前月比小幅上伸。メーカーは、継続的に不採算品種の仕切り価格引き上げを唱えているが、原材料の銅価格に大きな変動はないとの見方が強いため、市況は横ばい推移の公算大。
【ガス管】~続伸し、なお強含み推移~
白ねじ付き管50A4mで本当たり2、780円と前月比60円の続伸。民間設備投資が回復基調にあるものの、荷動きが好転するまでには至っていない。一方、メーカーの供給量が減少していることから、市中の品薄感は依然として強い。すでにメーカーは原材料の高騰を理由に、10月出荷分から今年3回目の値上げを打ち出している。このため、流通筋も先高観を背景に強気の販売姿勢を崩していない。先行き、供給側の売り腰に緩みはみられず、市況は強含み推移の公算が大きい。
【燃料油】~原油価格高騰により、市況上伸~
8月の海外原油平均価格(ドバイ)は、バーレル当たり38.5ドルと前月比3.8ドル上伸した。これを受けて、国内大手元売りは、9月の仕切り価格をリットル当たり4円前後引き上げた。6月に続いての大幅な引き上げとなったことから、販売価格への転嫁を強気に進めている。このため、中間3品(ローリー)でリットル当たり1円、ガソリン(スタンド)で2円上伸した。特約店筋は、仕切り価格上昇分の全額転嫁を目指し、需要家との交渉を続けていくとみられ、当面強含み推移の公算が大きい。