国土交通省は20日、平成13~15年度の「出来高部分払方式」の試行工事フォローアップをまとめた。それによると、設計変更協議回数が従来より増えたことで、最終的に設計変更に関するリスク回避ができたと答えた請負者は42%だった。
また、その協議内容が「以前と変わらない」と答えた発注者は、実に72%で、逆に「協議内容の充実が図られた」と答えた請負者は71%と対象的な結果となった。
同方式は、現状の契約規定内で実施が可能とされる。しかし、検査回数の増加や出来高の取扱いが不明確なことから、事務作業の負担などが懸念されてきた。同省としても、これまでの試行結果から検査項目の簡略化や出来高の取扱い方法などの改善策を検討する。
今回の結果により試行を終了し、現状の課題に対する改善策を検討するとともに、同方式の本格普及を図る構えだ。
出来高部分払は、請負者が従来通り工事着手時の前払金請求に加え、請負工事の出来高に応じた工事代金を受取ることができる方式。
今回の結果は、平成13~15年度試行工事116件について、受発注者双方へのアンケートをもとにフォローアップを行ったもの。ただ、前回(平成15年3月末までの工期終了工事)とりまとめた18件を除き、平成16年3月末までの工期末を迎えた85件の工事についてまとめた。
その他、主な効果では同方式で借入金の削減や資金計画が立てやすくなり「財務状況の改善が図られた」と答えたのが元請企業44%割、下請企業29%だった。さらに、仮に同方式が全面導入された場合に「会社経営が楽になる」と元請60%、下請66%の企業が回答した。これは、部分払いされることで、元下間で現金による支払いが可能となり、キャッシュフローがよくなったことがあげれる。しかし、元請企業の社内規定により手形を90日超で支払うなど、国が定めた「出来高部分払試行実施要領」通りにされていないケースもあり、今後の改善点とされた。
工事品質や技術力の向上などでは、品質が向上するとの回答は、発注者側で54%、請負者側が57%。技術力が向上する答えたのは、発注者側で32%、請負者側で45%だった。
一方、この結果で得た主な課題では、契約時点で単価を決める「単価合意を行った方がよい」と答えたのが発注者側で58%、請負者側では98%とそのほとんどが「行うべき」と答えた。
また、前払金について請負者は、40%必要との意見が44%。30%必要としたのが43%だった。さらに、既済部分検査の作業量が増えたと受発注者双方の半分以上が回答した。