千葉市の熊谷俊人市長と新日本建設(千葉市美浜区)の金綱一男代表取締役会長による、包括的な連携によるまちづくりの推進に関する協定の締結式が16日、同市役所で執り行われた。民間都市開発事業者との同協定締結は、今年6月の三井不動産及び三井不動産レジデンシャルとの三者協定に続いて2例目、市内に本社を置く企業との締結は初となる。くしくも新日本建設の設立50周年記念日と重なり、会場からは祝辞とともに拍手がわき上がるなど、終始和やかな雰囲気で式が進行した。
式典は熊谷市長、金綱会長のほか、千葉市から川上総合政策局長、新日本建設から高橋苗樹管理本部長、関谷隆総務部長、小島三彦法務室長、谷口佳彦計画企画室主任らが出席して行われた。
人口減少や少子・高齢化、環境問題など、もはや行政だけでは対応が難しい問題が山積する中で、双方がこれまで培ってきたまちづくりに関するノウハウを相互に活用するなど連携して取り組むことで、市が掲げる「未来をつくる人材が育つまち」「みんなの力で支えあうまち」「訪れてみたい、住んでみたいまち」の実現を目指す。
主な連携事項は、①既成市街地における拠点機能の整備・向上に関する事項②都市防災機能の向上と災害時における対応に関する事項③ICTを活用したまちづくりの推進に関する事項④高齢者、子育て世帯等に配慮したまちづくりの推進に関する事項⑤環境に配慮したまちづくりの推進に関する事項⑥経済活性化に貢献するまちづくりの推進に関する事項⑦地域コミュニティづくりに配慮したまちづくりの推進に関する事項。
協定締結期間は2028年3月31日までとするが、双方から特に申し出がない場合には1年間更新。その後も同様とする。
協定締結後、金綱会長が「民間のノウハウを吸収するこうした制度はすばらしい。今まではこうした(行政との)接点がなかった」とコメントすると、熊谷市長は「もったいない。普段から意見交換ができれば、いいかたちで修正できる。きたんのない意見交換ができる環境ができればと思う」と応じた。
この日は、新日本建設にとって、1964年の会社(金綱工務店)設立から50周年の記念の日。千葉市内においても、これまでに若葉区役所、海浜打瀬小学校、フクダ電子アリーナなど数多くの公共施設を手掛け、今年3月には千葉駅西口再開発事業B工区の事業協力者にも選ばれている。
また、設計から建設、販売、管理まで一貫した民間マンションの建設でも多くの実績があり、同社と関東学院大学名誉教授の槇谷榮次氏が共同開発したハイパー耐震工法は、居ながらにして施工できるなど業界内でも高い評価を得ている。
金綱会長は、自らが理事長を務める一般社団法人中高層耐震建築機構で、同工法の普及にも力を注いでおり、熊谷市長も、市営住宅など同市の中高層住宅での、そうしたノウハウの活用に期待したいとした。