住宅・都市整備公団が越谷市内に計画している「越谷レイクタウン特定土地区画整理事業」は、今年度中の事業認可取得を目指し詰めの段階に入っている。同事業は、事業のシンボルともなる大相模調節池の水辺空間を生かしながら、計画的な新市街地を形成するもので、わが国初の内陸型水辺都市づくりとして注目されている。計画では、商業・業務、住宅や、JR武蔵野線の新駅も設置。また、調節池や元荒川からの導水路、東埼玉道路側道部なども県や国が九月までに各設計業務を委託、平成二十五年の事業完了に向けて本格的に動き出す。概算事業費は一、一〇〇億円。
越谷レイクタウン開発区域は、越谷市東南部の大成町、東町地内の面積二二五・六ha。地区内にはJR武蔵野線が東西に走り、東側には国道一六号と東京外かく環状道路を南北に結ぶ東埼玉道路の建設が計画されている。土地利用計画は、新駅周辺に商業・業務機能用地や複合施設用地を配置するほか、住宅、公共施設用地を設置する。幹線道路は、川柳大成町線(W二七m)、川柳東町線(W一八m)など六路線を新設。
JR武蔵野線については、区域内全体の盛土に伴い、現在の軌道敷から北側に約二〇m移設して高架構造にするとともに、新駅も設置。開業目標は街びらき、入居開始予定の平成二十年。新駅設置地区には、越谷市斎場が立地しており、移転に向けて同市ほか、吉川市、松伏町の二市一町が共同で建設する方向で検討を行っている。計画では、各市町で一か所ずつ候補地を挙げ、今年度中に選定する予定。しかし、このほど松伏町が候補地に位置付けていた下赤岩地区の水田地帯を公表、地元説明会を行ったが、自治会が建設反対署名運動を始めており、今後の移転計画に影響を及ぼすことになりそうだ。
レイクタウン事業のメーンとなる大相模調節池は、中川、元荒川流域全体の治水安全度の向上と、豊かな水辺環境を合わせ持ち、面積は三九・五ha、調節容量は約一二〇万t。
調節池の水際全線には、湖畔散策用の歩道を整備。緩斜面の法面には芝生広場、桟橋などの整備が計画されている。
池の整備については、事業認可作業と並行して県と公団が覚書を交わし、公団から実施設計と工事が発注される。計画地の地盤が軟弱なため、初弾工は地盤改良や止水壁工を進めていくもよう。調節池全体の概算事業費は二九六億円。
また、元荒川の水を調節池に流入させる導水路は、県越谷土木事務所が担当。計画では、導水路は四m×四mの二連ボックスとし、東埼玉道路の側道下に開削工法で布設する。整備延長は約八二〇m。越流堤は横越流方式を採用。越流堤幅は約二〇m程度。
昨年度、東京建設コンサルタント(豊島区)が実施した模型実験を基に、実施設計業務を九月までに委託する。また、千疋排水路を利用して中川に落とす排水路についても同月中までの基本設計委託を予定している。
また、東埼玉道路の側道部は建設省北首都国道工事事務所が業務を担当。同線のうち、レイクタウン橋と元荒川に架設する新元荒川橋の設計はこれまでに、プロポーザル方式で指名を受けた各コンサルタントが資料を提出。今週中にも採用案を絞り込み、八月上旬には契約を交わす。資料提出したのは、レイクタウン橋がパシフィックコンサルタンツ(多摩市)、綜合技術コンサルタント(千代田区)、長大(中央区)、構造技研(千代田区)、中央コンサルタンツ(名古屋市)。新元荒川橋は八千代エンジニヤリング(目黒区)、千代田コンサルタント(千代田区)、開発コンサルタント(台東区)、日本構造橋梁研究所(港区)、日本技術開発(中野区)。二橋とも橋長は一四〇mで計画され、いずれも上下線分離で架設される。業務は予備設計から着手し、径間、構造までをまとめる。新元荒川橋については取り付け部の用地取得が必要としながらも、レイクタウン橋とともに十二年度の着工を目指している。