記事

事業者
(一財)建設物価調査会

2004年11月・主要建設資材価格動向(東京)/財団法人建設物価調査会

2004/10/25 本社配信

 【総括】

今月の調査結果をみると、10品目の建設資材の変動状況は、9品目不変、1品目上伸となった。秋の本格的な需要期入りを背景に原燃料、素材の高騰を理由にした流通から需要家への価格転嫁の動きが強まっているが、需要の下支えが弱いことや、原材料価格の不安定さを映して需給双方の綱引き合いが続く状況となっている。

 資材別に概観すると、異形棒鋼は、流通筋が成約価格を引き上げたい意向にあるが、新規引き合いが冴えないため、価格は前月比変わらず。鉄鋼二次製品のうち、カラー亜鉛鉄板は、需要に力なく、価格は前月比変わらず。先行き市況は、市中での品薄感が強いため、秋需要の高まりとともにジリ高気配。レディーミクストコンクリートは、出荷増を背景に生コン協組が骨材、セメント、燃料等の価格上昇に伴うコストアップ分を吸収すべく値上げを打ち出しているが、需要家の抵抗が強く、価格は前月比変わらず。再生砕石のうち、再生クラッシャランは、在庫処理を急ぐメーカー間の受注競争が激しく、販売環境は依然として厳しい。価格は前月比変わらず。木材のうち、杉正角は、官・民ともに工事量の伸び悩みが続き、秋需は盛り上がりに欠けるが、流通筋では仕入れ量を調整しており、需給の緩みはみられない。価格は前月比変わらず。コンクリート型枠用合板の価格は、前月比変わらず。8月の輸入合板入荷量は約46万立方mと引き続き高水準で推移しているが、現地製品価格が高値で推移していることから、輸入コストは依然として高い。アスファルト混合物は、メーカーが9月出荷分からトン当たり500円前後の値上げを打ち出しているが、需要家は採算の悪化を理由に拒んでいる。価格は前月比変わらず。電線は、9月入り後、市中の工事量は増加しており、荷動きは活発化している。流通筋ではメーカー値上げを背景に販売価格の引き上げ交渉を開始したが、現時点では浸透をみておらず、価格は前月比変わらず。塩ビ管価格は、前月比変わらず。メーカー各社は、原料となる塩ビ樹脂価格の上昇を理由に10月出荷分から、仕切り価格引き上げを開始したが、現状では未浸透。燃料油は9月に仕切り価格が大幅に引き上げられたことから、特約店筋が販売価格への転嫁を強硬に進めている。中間3品、ガソリンとも低水準の在庫を背景に値上げが浸透し、続伸した。

【異形棒鋼】~前月比変わらず~

SD295A・D19でトン当たり60、000円と前月比変わらず。原材料のスクラップが反騰していることから、メーカーの価格優先姿勢に緩みはみられない。一方、流通筋では成約価格を引き上げたい意向にあるが、新規引き合いは冴えないため、市況の上伸力が弱まり、同値圏で推移。市況が高値圏で推移していることから、需要家の値上げに対する抵抗が強いが、流通筋の売り腰が軟化する気配はない。先行き、需給双方の綱引きが予想されるが、供給側の強気姿勢を映し、市況はジリ高推移の公算が大きい。

【カラー亜鉛鉄板】~価格横ばいもジリ高基調~

平板の0.35×914×1、829mmで枚当たり851円と前月比変わらず。メーカー各社は、10月出荷分からトン当たり10、000円以上の値上げを打ち出している。また、メーカーからの供給がタイトなため、市中では依然として品薄感が強く、今後、秋需や、非住宅建築向け物件が上向くにつれ、需給は一層引締まると予想される。一方、流通筋では、メーカー値上げ分を早期に転嫁すべく売り腰を強めると思われるが、需要家の抵抗も依然として強い。目先、市況はジリ高基調で推移すると思われる。

【レディーミクストコンクリート】~目先横ばい推移~

8月の出荷量は約37万7千立方m(東京地区生コンクリート協組調べ)、前年同月比12.9%増と3か月連続で前年出荷実績を上回った。価格は立方m当たり11、200円と前月比変わらず。排ガス規制に伴う骨材等原材料価格のコストアップに加え、主燃料である石炭価格の高騰を背景としたセメント価格も上昇していることから、同協組の値上げに向けた販売姿勢に緩みはない。一方、需要家は隣接地区に比べ市況が高水準であることから値上げに対して強い抵抗を示している。目先、市況は横ばいで推移しよう。

【再生砕石】~需要低調、先行き横ばい推移~

再生クラッシャラン40~0で立方m当たり1、500円と前月比変わらず。再生材は路盤材需要が低調ななかで在庫過剰感が強いことを背景に、在庫処理を急ぐメーカー間の受注競争が激しく、販売環境は依然として厳しい。しかし、再生材メーカーは、需要期である年末以降に発注物件の増加が見込める反面、燃料費上昇や排ガス規制に伴う輸送コスト上昇に懸念があることから、更なる価格下落には危機感を強めている。先行き、市況は弱含みながら横ばい推移の公算が大きい。

【木材】~目先、横ばい推移~

杉正角(特1等3m×10.5×10.5cm)で立方m当たり40、000円と前月比変わらず。9月に入っても、官・民ともに工事量の伸び悩みが続き、秋需は盛り上がりに欠ける。こうした状況下、流通筋では仕入れ量を調整しており、需給の緩みはみられない。一方、産地では台風による倒木被害から原木の品薄感が強まり、値上がりしている。しかし、杉材の競合品である集成材の市況が下落しているため、流通筋が原木値上がり分を製品価格に転嫁するのは困難との見方が強い。目先、横ばい推移の公算が大きい。

【コンクリート形枠用合板】~前月比変わらず~

12×900×1、800mmラワン輸入品で枚当たり880円と前月比変わらず。8月の輸入合板入荷量は約46万立方mと引き続き高水準で推移している。しかし、現地製品価格が高値で推移していることから、輸入コストは依然として高い。商社は、市場価格への転嫁が進まないため、現地での積極的な成約を控えており、10月の入荷量は減少する見通し。秋需の本格期を迎え荷動きが上向きにあることから、需給は均衡に向かいつつある。先行き、市況は横ばい推移の公算が大きい。

【アスファルト混合物】~前月比変わらず~

8月の出荷量は約30万トン(東京アスファルト合材協会調べ)と前年同月比3.1%の増加で堅調に推移。価格は密粒度13でトン当たり6、800円と前月比変わらず。メーカー各社はストアス価格の高騰によるコスト上昇から、9月出荷分からトン当たり500円前後の値上げを打ち出している。需要家の一部に理解を示す動きがあるものの、大勢は採算の悪化を理由に値上げを拒んでいる。メーカーはストアス価格の更なる値上がりを懸念し、強気で値上げ交渉を続けていく模様だが、目先は横ばい推移見通し。

【電線】~先高観強まる~

IV1.6mm単線でm当たり12.3円と前月比変わらず。9月入り後、市中の工事量は増加しており、荷動きは活発化している。一方、電線価格の指標となる国内電気銅建値は、10月上旬にトン当たり40万円となり、約14年ぶりの高値水準となった。加えて、原油価格高騰の影響で、被覆材原料の塩ビコンパウンドが値上がりしたため、メーカーの売り腰は一段と強い。こうしたなか、流通筋では販売価格の引き上げ交渉を開始したが、現時点では浸透をみていない。当面、市況は強含みで推移しよう。

【硬質塩化ビニル管】~先行き、強含み~

8月の塩ビ管出荷量は37、838t(塩化ビニル管・継手協会調べ)と前月同月比9.3%増となった。価格はVP100A4mで本当たり3、130円と前月比変わらず。塩ビ管メーカー各社は、原料となる塩ビ樹脂価格の上昇を理由に10月出荷分から、流通業者への仕切り価格引き上げを開始した。今年2回目の値上げとなることから、需要家の抵抗が予想されるが、一部の代表品種には既に品薄感が出ていることもあり、流通業者は販売姿勢を強めている。このため、先行き、強含み推移の公算が大きい。

【燃料油】~値上げ浸透し、続伸~

9月の海外原油平均価格(ドバイ)は、バーレル当たり35.6ドルと前月比2.9ドル下落した。国内大手元売りは、10月の仕切り価格をリットル当たり1~2円引き下げた。一方、特約店筋は、9月に仕切り価格が大幅に引き上げられたことから、販売価格への転嫁を強硬に進めている。中間3品、ガソリンとも在庫が低水準であるという背景もあり、値上げが浸透し、続伸した。目先、10月の仕切り価格は引き上げられたものの、原油価格が再び高騰しているため、横ばい推移の公算が大きい。



紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら