元衆議院議員の野中広務氏が、東京オリンピック・パラリンピックをひかえた今の日本の現状について「国の運命が揺らいでいる時期」と危機感を示した。19日に開かれた全国建設産業団体連合会の会合で講師に招かれた野中氏は、東京オリンピックにより、東京への一極集中が進まないような舵取りが必要という見解を示した。
「東京はインフラの整備などで活気づいていく道を求めると思う。地方創生を内閣が柱にしていることを考えると、一極集中ではなく、地方に人もモノも持っていく、拠点を変えていくという努力が必要。オリンピックを目標にした一極集中が進んでしまうと多くの格差を生むだろう。国の運命が揺らいでいる」と話し、今後50年、100年先の日本を考えたとき、2020年までの5年間が非常に重要になると訴えた。
(のなか・ひろむ)
1925年生まれ。京都府園部町議会議員、同町長、京都府議会議員、同副知事を経て、83年に衆議院議員に当選。内閣官房長官、自民党幹事長などを歴任し、03年に引退。