厚生労働省は16日、新たな建設労働対策として「新たな労働力需給調整システム(案)」をまとめた。建設事業主団体が改善計画を作成し、厚生労働大臣の認定許可を受けることで、建設技能労働者の派遣が可能となる。ただ、このシステム案は緊急的かつ限定的な特定の地域内での雇用安定を目的としているため、派遣法ではなク建設雇用改善法の改正として実施される。
改善計画には、雇用改善目標、実施時期、団体が認定を受けて行う事業。それと、労働者を派遣する送出事業主、受入事業主との組み合わせなどを明記し厚生労働大臣へ提出する。
また、認定を受けて行える事業は、計画に基づき送出事業主から受入事業主へ労働者を派遣する「建設業務労働者就業機会確保事業」と認定団体が他産業の労働者も含めた求職者を受入事業主などへ紹介する「建設業務有料職業紹介事業」の2つ。
システム案は、同日開催された第9回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会の建設労働専門委員会(座長・椎谷正雇用振興協会理事長)で提示された。
会合では、同システム(案)について「事業主団体の対象が広ければ、派遣業務を主とする悪徳ブローカーが入ってくる」と懸念した上で「都道府県単位での建設業団体が妥当」だとの意見が噴出した。
関連して、全国に1100~1200団体があると言われる「事業協組も対象にするのか」との質問に対し厚労省(事務局側)は「一定の条件を満たしていれば参入は可能」と回答。ただ、定期的に事業報告書の提出を義務付けし「その内容が不適切な場合は、指導、改善命令、特に悪質な場合は、認定の取消しなどで対応する」と補足した。
一方、同システム案では、労働者の賃金の支払いや労働災害保険の補償が送出事業主(雇用者)が負担する。これに対し、各委員から「建設業の重層下請制度の中では、難しい。元請業者が労災保険など全てを請け負っている建設業界では、現実的ではない」と反対意見が相次いだ。
結局、今回の会合では事務局側も回答できず、次回会合(30日)までに具体的解決策を提示することで終了した。