厚生労働省は21日、第12回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会の建設労働専門委員会(座長・椎谷正雇用振興協会理事長)を開催した。会合では、前回提示された「新たな建設労働対策について(報告書案)」の修正点なども踏まえ、再度検討した。その中で、労働者派遣が実質可能となる需給調整システムを認可する厚生労働大臣審査の更新期間を3年と明記。認定を受けた改善計画は、その計画に記載された実施時期の範囲内(原則として3年以内)に限り有効とした。実施時期が終了し、更新する場合は、再度厚生労働大臣の審査が必要となる。ただ、前回も意見が集中した派遣労働者の労働災害保険の補償については、労働災害保険の検討部会の報告を待って記載することとした。
また、同省はすでに今年度からスタートしている建設事業主の新分野進出支援や労働者育成・確保支援などを促進する「建設雇用再生トータルプラン」に同委員会で検討してる「建設業の労働需給調整システム」を拡充。同委員会で内容説明を含め、明らかにした。 拡充内容は、建設労働者需給調整適正化支援事業(仮称)を創設し、適切な運営確保のため、全国建設業協会へ委託するもので、さらに、各都道府県建設業協会には相談、助言などを行う需給調整システムアドバイザー(仮称)を配置する。
報告書は、年度内にもまとめることから、次回会合は来年1月11日を予定する。
労働者派遣が実質可能となる報告書案には、事業主の新分野進出、建設業離職者の円滑な労働移動、建設業労働者の需給調整、技能労働者の育成・確保などのあり方などが示されている。この中で、新たな施策として導入される建設業の労働需給調整システムは、建設事業主団体が改善計画を作成し、厚生労働大臣の認定許可を受けることで、建設技能労働者の派遣が可能となるシステムだ。
システムの流れは、建設事業主団体(各都道府県の建設業団体など)が改善計画を作成し、厚生労働大臣へ提出する。認定を受けて行える事業は、計画に基づき送出事業主から受入事業主へ労働者を派遣する「建設業務労働者就業機会確保事業」と認定団体が他産業の労働者も含めた求職者を受入事業主などへ紹介する「建設業務有料職業紹介事業」の2つ。
改善計画には、雇用改善目標、実施時期、団体が認定を受けて行う事業、労働者を派遣する送出事業主、受入事業主との組み合わせなどを明記する。
事業認定の許可については、厚生労働大臣による審査が行われる。しかし、悪徳ブローカーによる中間搾取、強制労働などの弊害が懸念される。そのため、定期検査や認定許可が妥当かどうかを定期的(3年間)に検討する場を設けることなどの対応策を多く盛り込んだ。