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群馬県高崎市

富岡賢治市長インタビュー

2016/04/28 群馬建設新聞

高崎市の富岡賢治市長は、群馬建設新聞の単独インタビューに応じた。市長は「1期目から同じ考え方で、高崎のビジネスを盛んにしていく。人・もの・情報を集積した街にしたい。そのためには何でも早くやるとの方針で一貫してきた」と就任以来の変わらぬ思いを力強く語る。2期目に入った今後の市政について聞いた。

-2期目の抱負を

富岡 1期目からずっと同じ考え方で、高崎のビジネスを盛んにしていく。「人・もの・情報」を集積した街にしたい。この力を生かして福祉や子育て環境、教育などを良くしていく。そのためには何でも早くやる方針で一貫してきた。市民の方にはご理解いただいてきているのではないかと感じている。


-本年度は高崎アリーナの竣工、芸術文化センターの着工が控える

富岡 1期目に予定したプロジェクトが確実に進んでいる。いろいろ波風はあるが、財政を計算しながら過大な負担にならないように順を追って進めてきた成果が姿を現し始めたところ。順調だと思う。また、大きなプロジェクトだけではなく、福祉や医療、子育て環境などの成果も自分なりに実現してきたと思っている。「市民の目線で、市民の話を聞きながら」と言って、いつまでも検討しているままという仕事の仕方はしない。実行が大事と考えている。


-高崎駅東口の芸術文化センター隣の複合施設の建設は

富岡 店舗やオフィスの入る複合ビルを造る予定でいる。どこの店舗や会社が入るかは現在詰めている。新しい施設ができて駅前がさらににぎかなエリアになると思う。建物を建設して店舗を入れるだけではなく知恵が必要だ。どういう街にして、どういう人に来てもらうか、どういう店舗に入ってもらうかなどのコンセプトが必要。昔は高崎へ買い物に来ていた若い人たちが、今は大宮などへ行っている。そういう若い人たちを再び高崎に呼び戻したい。人が歩いて街がにぎやかになることが必要で、特に子育て中の若いお父さんやお母さんに来てもらうことで街が若返る。高崎に必要なのは子ども図書館や子どもが室内で遊ぶ施設。高崎の若いお父さんやお母さんは市外に行って子供を遊ばせている。


-烏川かわまちづくり計画について

富岡 高崎の街を見渡してみると、烏川や観音山があり、上毛三山が見えて、浅間山、谷川岳とパノラマ風景がすごく良い。ところが若い恋人たちがこういうパノラマ風景を見ながら、パスタを食べてワインを飲んで恋を語らうお店が川沿いに一軒もないのはおかしい。福岡県ではラーメン屋が並んでおり、富山県にはスターバックスが建つ。川岸はすごく生かせる場所で、烏川の岸を有効活用しようと計画している。高崎は今パスタの街と言われているから、パスタのお店を並べたらどうかなと思っている。しかし、12~1月は空っ風が吹きすさび、一年を通した店舗の営業は難しいから、民間ではちょっと大変かなと思っている。具体的にはこれから詰めるが、いろいろ知恵を出して、左岸の散歩道に特色のあるお店を並べる。川を活用した、川からの地方創生を目指していきたい。


-下之城駅新設の計画がある

富岡 倉賀野にあるJRの高崎操車場跡地を工業団地として整備した。過去10年間企業誘致が実現しなかったがトップセールスで販売した。その結果、従業員の人たちがたくさん来る地域になった。地元と私の希望で高崎駅と倉賀野駅の真ん中の所にJRの駅を新設したらどうかと考えた。3年前にも地元からの要望があって、上信電鉄に無人駅を作った。大変喜んでもらっていると思うが、今回は桁が違い簡単ではない。JRと相談しないといけないし、財政的にも吟味しないといけない。だが、産業エリアになっているから、当然交通の利便性を考えなきゃならない。今後の懸案事項である。


-駅周辺以外の地域については

富岡 東京でもそうだが、全部の地域でビジネスが同じように発展することはありえない。交通の条件などもあるし、それぞれの地域の特色を生かしていくことに尽きると思う。箕郷は、新しく西毛広域幹線道路ができたら様変わりする。高崎の誇る箕輪城という文化財があるから観光に力を入れていく。榛名も高崎の宝で最近ではヒルクライムが人気だ。2017年度からは東吾妻町から買収した「榛名吾妻荘」で林間学校を行う。農産物は質がいいのだけれど、ブランド力に欠ける。アンテナショップを東京に持って行く従来の手法だけではダメ。やはりインターネットを使ってショップやデパ地下、スーパーとの連携を図り、高崎の農産物を売ってくれたらその売り上げの5%(上限100万円)まで助成する。出足は悪いが、高崎のブランド力を上げるための政策を進めている。同じ手法を画一的にやるのはありえない。合併したら収入がその分増えるわけではない。むしろ収入よりもお金がかかる。しかし合併には、損得勘定だけでは計れない、合併しなければできない、もっと価値がある。よく前橋と高崎が合併すればという話が一部の経済人の間であるが、私は全く賛成しない。


-本年度復活する優良工事表彰について

富岡 趣旨は大変良い。ものづくりをしている人やいい仕事をした人に対して表彰する。ものづくりの人たちは喜ぶし、胸を張れることでいいこと。表彰の経済的な価値、メリットがあるのかどうかなどを見直した。表彰を受けた企業に対して、入札時に便宜を図るというやり方には、多少疑問があった。やはり本来の趣旨と違う。純然たるいい仕事をした人に対しての評価制度として再スタートする。


-コンベンション施設の建設計画がある

富岡 大変良いこと。群馬県の特色を持って「人・もの・情報」を集積するには工夫することが大事。コンベンション施設で儲かることはないという前提で考えるべき。収益がどうとか、儲かるという観点だけで政策は考えないほうがいい。今の群馬には必要で、高崎にもメリットはある。その代わり地域住民には渋滞などの迷惑がかかるから、ベストを尽くして対処していく。群馬県は、高崎もそうだが戦後一貫して「交通の拠点性がある」というブランド力だけでビジネスをやってきた。それだけではビジネスが動かない。いろいろ付加価値をつけて工夫しないといけない。待ってたんじゃ活性化しない。今あるものを変えようとするからさまざまな意見がある。


-建設業界に対するメッセージは

富岡 高崎の公共事業は基本的に高崎の会社でやるという方針で一貫している。高崎の会社だけではやれないプロジェクトは仕方ないが、高崎の税金を使ってやる公共事業は高崎の会社で請け負ってもらうという固い方針できた。全国で初めて、商店がリニューアルする時の助成金の制度を作った。これは高崎の業者が請け負った場合のみ助成する。空き家対策でも新たな商店にしたり、お年寄りや子育てママたちのサロンにする時に助成する。これも高崎の業者が請け負った時だけ助成する。高崎の建設業界の関係者に仕事がたくさん回るようにさまざまな工夫をしてきている。


-今後のまちづくりの展望

富岡 高崎市は新しい産業団地を造ると多くの会社が手を挙げる。敷地面積64haのスマートIC産業団地では誘致する会社の3分の2の配置を決めた。誘致した会社は雇用吸収力のある会社を選んだ。新しい新規雇用者などの数を積み上げると人口は増えると思う。そういう街づくり目指していく。次の産業団地は東口をまっすぐ行った高崎市総合卸売市場周辺に用意する計画で議会の承認も得た。急いで準備をしようと思う。今度は雇用吸収力の大きな流通団地を造る。子育て環境を良くするには直接的な対策だけではダメ。やはり経済対策が必要。雇用や収入が安定していないと結婚や子供を産む気にはならない。少子化対策は経済対策。次に子育て環境を良くしていく。

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