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(一社)千葉県建設業協会

新会長に畔蒜毅氏/副会長は髙橋・石井・小宮山・金城氏/(一社)千葉県建設業協会が総会

2016/05/27 日刊建設タイムズ

 (一社)千葉県建設業協会(会員518社)の2016年度定時総会が26日、千葉市内のオークラ千葉ホテルで開かれ、16年度事業計画などを全会一致で可決。任期満了に伴う役員改選では、新会長に㈱畔蒜工務店代表取締役の畔蒜毅氏を選出。副会長には髙橋順一(㈱高橋工務店)、石井良典(石井工業㈱)、小宮山房信(㈱岡部建設)、金城総円(㈱金城組)の各氏が就き、前会長の鈴木雅博氏(太陽物産㈱)は新相談役に。総会後にあいさつした畔蒜新会長は、熊本地震などに鑑みて「大地震や大津波、台風やゲリラ豪雨などの自然災害は、いつどこで起きても不思議ではないということを常に意識し、関係行政機関や支部、会員と結束して県土の保全と住民の安全・安心確保に向け対応しなければならない」との認識を示す一方、県内の各地域で求められる公共事業を行うために必要な予算が確保され「その主力となる地域に密着した私ども建設企業の受注機会が拡大していくように取り組むことも、私に課せられた使命である」と述べ、新会長としての抱負に代えた。


 ◇県土の保全と受注機会拡大


 政府の2016年度当初予算では、ほぼ前年度並みの公共事業予算を確保。本県においても、地方経済を活性化させるための施策が動き出した状況にあるが、例年、年度当初の公共工事の発注は少ない。表面化はしないものの、上半期後半から繁忙期になると、技能工をはじめとする人材、需要の多い資機材が不足する状況に直面。年間を通じての「平準化された受注と施工」については「今一歩」の状況にある。

 仕事はあっても技術者がいない、受注しても利益が出ない「豊作貧乏の市場環境」を抜本的に改善するために、品確法をはじめとするいわゆる「担い手三法」による施策が運用されたことにより、「適正金額での発注の徹底」など発注者責任が強化。一方、受注者側では、下請け企業も含めた社会保険への加入対策の推進が「待ったなし」の状況にある。

 この4月に発生し、未だに余震が収まらないという前例のない事態に直面する「熊本地震」をはじめ、台風やゲリラ豪雨など、日本列島には自然災害の脅威が相次ぎ、国民の安全・安心を守るための取り組みが、国の最重要課題として浮上。自然災害の猛威から住民の生命を守るための公共事業は「不可欠」であり、その「推進役」である建設業の役割も大きくなっている。

 同協会の2016年度事業計画をみると、新規事業として、地域社会・公共福祉への寄与での「協会入会規定の明確化と資格審査の厳正化」に加え、国・県に対する要望での「発注者側若手技術者の資質向上に繋がる現場体験制度等の導入提案」が特筆される。


 ◇地域からの信頼と貢献姿勢を明確に


 総会の冒頭のあいさつで鈴木雅博会長は「私ども協会の会員企業は、それぞれの地域で今後も存続し対応していく必要がある」とし、そのためには「企業コンプライアンスを向上させ、地域住民から信頼される存在として、地域に貢献する建設企業の姿勢を一層明確にし、行動しなければならない」と強く訴え、後事を託した。



 ◇諸情勢


 政府と日銀による過去数年間の経済・財政対策が、株価上昇や雇用情勢、物価等の安定に繋がり、長年続いたデフレ経済からの脱却、回復基調に向かうかに見えた日本経済だった。しかし、今年1月の中国株式市場での株価暴落をきっかけに、中国経済の鈍化が明確になってきた影響や、原油価格の下落などに引きずられる形で暗転。世界同時株安への懸念など、今後の経済情勢は一段と不透明感を増幅する状況になっている。

 また、地方経済についても、依然として活性化する気配は見られず、新年度予算の早期執行と合わせて、新たな経済活性化対策を求める声が強まっている。千葉県の2016年度当初予算では、投資的経費である普通建設事業費が、前年度に比べて減となったが、県では2月の補正予算とも一体化させて、切れ目のない執行で地方経済の再生と活性化に取り組んでいく方針を示している。

 一方、公共事業を巡る情勢は、2011年10月の政権交代により誕生した安倍政権が、公共事業予算の大型補正を行ったものの、それ以降の単年度予算については、前年度の水準は確保しつつ、大型補正は行わない形で推移してきたことから、現在の公共事業予算は、前民主党政権による「コンクリートから人へ」をキャッチフレーズとした11年度当初予算と変わらない水準にあり、その影響は、地方建設業に対するしわ寄せとなって表れている。

 建設業界としては、政府による大規模な財政出動により、公共事業予算についても、思い切った補正予算が編成されることに期待している。

 いずれにしても、地球温暖化等に起因するとみられる大型化した台風等の襲来や爆弾低気圧、ゲリラ豪雨による河川の氾濫、洪水、竜巻の猛威等激烈化する一方の気象現象に加えて、地震や火山噴火なども頻発し、人命と財産を喪失し続けている事態は、依然として自然災害に対する脆弱な国土の実情を露呈しているものであり、災害に強い国づくりを前進させていくことが喫緊の課題になっている。


 ◇「担い手三法」の運用を地方公共機関末端まで


 このような情勢の中で、公共工事の品質確保促進法を始めとする、いわゆる「担い手三法」により、建設産業の担い手を育成・確保していくために、受注者の適正な利潤を確保すること、そのために発注者は適正な予定価格を設定することを始めとする責務が明示された。この運用を地方公共機関の末端にまで浸透させ、徹底させていくことが大きな課題として残されている。


 ◇法令順守を大前提に企業活動の展開強化


 こうした発注者に課せられた責務の一方で、建設業界には、技術・技能者の育成確保と賃金、休暇、社会保険の未加入対策など、人材確保と労働環境の改善により、若者が将来を託すことができる魅力ある産業づくりへの取り組みのほか、今後一層重要になる公共施設の長寿命化対策への貢献や、自然災害発生時の緊急対応と復旧活動を通じた地域住民の安全・安心確保、そして地域社会と経済の活性化に貢献していくための活動強化が求められている。 

 公共工事の受注と施工を主力とする企業で組織する本協会にとって、常に法令順守に基づく適正な企業活動を徹底していく姿勢が求められており、昨年度制定した「新たな協会行動規範」により、法令順守を大前提とする企業活動の展開が図られるよう、啓蒙活動の強化に取り組んでいかねばならない。

 本協会としては以上のような認識の下、次の具体的な事業計画に基づく活動を展開していくこととする。

 

 ◇具体事業


 【地域社会・公共福祉への寄与】

 ○良質な住宅・社会資本の整備

 ○地震・風水害等、災害時における官民協力体制の推進=①千葉県及び国土交通省関東地方整備局との災害時対応協定に基づく活動②千葉県との防疫協定締結に基づく家畜伝染病発生時の対応

 ○国、県と連携した「水防訓練」「震災対応訓練」等への参加=国や各地域の行政機関が主導する水防訓練や演習への参加、防災の日前後に行われる県土整備部の震災訓練への協力と参加

 ○ボランティア活動の充実と支援=各支部を主体とする清掃活動など地域貢献活動の充実と支援

 ○協会入会規定の明確化と資格審査の厳正化

 ○公共・公益性のある各種行事等への参加協力

 【協会「行動規範」の順守】

  行動規範順守の徹底及び企業コンプライアンス向上に資する「適正取引講習会」等による啓蒙

 【国、県に対する要望】

 ○国土と県土の強靭化促進に向けた国・県等の公共事業予算の安定的・持続的確保と工事執行に関する要望

 ○県内建設企業に対する国、独立行政法人等、政府関係機関発注工事の受注機会拡大要望

 ○公共工事の品質確保促進法に基づく運用指針の浸透状況検証及び入札・契約制度の一層の改善に向けた活動の強化、適正金額での受注につながる発注機関に対する設計・積算、適正工期の設定、発注時期・納期の平準化推進に資する要望・提案活動の強化

 ○発注者側若手技術者の資質向上に繋がる現場体験制度等の導入提案

 【建設産業構造改善事業の推進】

 ○労働福祉・賃金体系・雇用管理体制の確立と雇用改善の推進(労働者確保育成事業)

 ○新たな競争の時代における経営基盤強化への対応=①人材の確保・育成に向けた対応(職業体験学習会への支援)②新入社員研修ほか各種研修会の主催・協賛参加③新技術・新工法、トータルステーション等に関連する研修会、講習会等の開催と参加④国、県の入札・契約方式等に関する講習会

 ○社会保険未加入問題への対応=①関東地方社会保険未加入対策推進協議会「千葉県ワーキンググループ」への参加と対応②会員に対する情報提供と啓蒙活動

 ○CCI活動の推進=現場見学会、重機体験学習会、出前講座、出張授業等によるイメージアップ対策の展開

 

 ◇建設業共済保険制度の加入促進

 

 【建設業・福祉共済対策の推進】

 ○勤労者退職金共済事業の推進

 ○千葉県建設業健康保険組合への加入促進

 ○建設業共済保険制度への加入促進

 【公共工事労務費調査並びに資材費調査への適切な対応】

 【建設業に対する暴力団等の徹底排除】

 千葉県暴力団追放県民会議との連携強化

 【関連団体との連携の強化】

 ○千葉県建設産業団体連合会との連携

 ○千葉県土木施工管理技士会との連携

 【公共工事中間前払保証事業の推進】

 【広報活動の推進】

 ○広報誌「建設展望」の編集・発行並びにインターネット掲載・配信等による建設業への理解促進につながる効果的な広報活動

 ○公共事業と建設業に対する理解促進に有効な広報活動の模索と推進

 ○県内建設企業の若手技術者確保に資する広報資料の作成とPR活動


 ◇建退共共済制度の優良事業所表彰も


 【表彰式】

 ○永年勤続功労者の表彰

 ○千葉県優良工事表彰施工主任技術者の表彰

 ○雇用改善優良事業所の表彰

 ○建退共共済制度優良事業所の表彰

 【会議等】

 ○三役会議(随時開催)

 ○常任理事会(随時開催)

 ○理事会(年2回開催)

 ○各種委員会(随時開催)

 ○三県連絡協議会(年1回)

 ○関東甲信越地方協会地域懇談会・ブロック会議(年1回)

 ○関東地方整備局及び同出先機関との意見交換会(随時開催)

 ○県土整備部等をはじめとする千葉県関連機関等との意見交換会(随時開催)

 ○その他異業種団体等との連絡会議(随時開催)



 【新役員】

 □会長=畔蒜 毅(㈱畔蒜工務店)

 □副会長=髙橋順一(㈱高橋工務店)▽石井良典(石井工業㈱)▽小宮山房信(㈱岡部建設)▽金城総円(㈱金城組)

 □専務理事=大林正章(本部事務局)

 □相談役=鈴木雅博(太陽物産㈱)

 □理事=〈千葉支部〉船越博文(㈱船越組)▽金綱一男(新日本建設㈱)▽伊藤英五郎(㈱伊藤工務店)▽田久保浩一(田久保建設㈱)▽佐々木利武(須崎建設㈱)〈京葉支部〉尾頭博行(尾頭建設㈱)▽石神信夫(高根建設㈱)▽保戸田泰夫(㈱保戸田組)〈市原支部〉菊地政廣(新千葉建設㈱)〈東葛支部〉吉田孝幸(入吉吉田工業㈱)▽湯浅健司(㈱湯浅建設)▽後藤三千男(㈱三和土建)▽飯塚幹男(㈱佐久谷)▽板橋登志男(㈱板橋建設)▽永井秀哉(永井建設㈱)〈北総支部〉萩原孝也(東豊土木工業㈱)▽萩原 仁(萩原土建㈱)▽鎌形憲一(鎌形建設㈱)〈香取支部〉前田泰弘(前田建設㈱)〈銚子支部〉岡田知益(岡田土建㈱)▽阿部裕康(阿部建設㈱)〈八日市場支部〉小原久幸(小原建設㈱)〈山武支部〉内山弘通(鈴木土建㈱)▽古谷秀一(古谷建設㈱)〈長生支部〉三枝輝久(㈱三枝組)〈夷隅支部〉吉清信夫(㈲吉清工業)▽小倉英治(小倉土建㈱)〈鴨川支部〉鬼塚 忠(鬼塚建設㈱)▽中野高明(㈱十文字土木)〈館山支部〉石井利男(睦建設㈱)〈君津支部〉青木孝行(㈱青木建材土木)▽石村達雄(石村建設㈱)〈本部指名〉笹原孝志(㈱笹原工務店)▽久保田量也(永和建設㈱)

 □監事=渡部智光(工営建設㈱、京葉支部)▽平田剛久(東海建設㈱、館山支部)▽新宅 隆(東日本建設業保証㈱千葉支店、会員外)

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