記事

事業者
千葉県建設産業団体連合会

新会長に千建協の畔蒜氏/受注機会確保・拡大で組織的活動/県建産連が総会

2016/06/15 日刊建設タイムズ

 千葉県建設産業団体連合会(正会員11団体)の2016年度通常総会が14日、千葉市内のホテルポートプラザちばで開かれ、16年度事業計画などを全会一致で可決。任期満了に伴う役員選任では、新会長に(一社)千葉県建設業協会会長の畔蒜毅氏を選出した。畔蒜氏は先月開かれた同協会の通常総会において、鈴木雅博会長の後継会長に推挙されたことから、建産連会長も受諾したもの。議案審議終了後にあいさつした畔蒜新会長は、「これからは建産連の会長という重責を果たしたいと思うので、ご協力をお願いしたい」と述べ、新会長としての抱負に代えた。


 ◇建設業職域代表「足立としゆき」の大勝利に一丸


 総会の冒頭であいさつした鈴木雅博会長は、来月10日に迫った参議院議員選挙に対して「私ども建設産業界としては、比例区の建設業職域代表である足立としゆき氏の大勝利に向けての結束と支援をお願いしたい」と呼びかけた。また、建設産業を取り巻く環境については「本年度当初の公共事業予算は前年度並みの予算が確保されたものの、今のところは経済の活性化が見られない」と指摘。九州の熊本・大分地方で発生した大地震の激甚災害対策とは別に「政府による景気対策を主眼とする補正予算が、いつどの程度の規模で編成されるかに関心が集まっている」と弁。

 いわゆる「担い手三法」の成立に伴う公共事業の発注関係事務に関する施策が運用され、「工事ごとに利益が確保できる仕組みづくりに向けた対応の徹底が課題になっている」とした氏は「この運用指針の徹底により、何としても『予定価格の適正な設定』や『スムーズな設計変更』等を実現してもらわなければならない」と強調。そのうえで「業界側としても『社会保険の未加入対策』や『ダンピング受注の防止』に加え、技能労働者を中心とする『担い手確保対策』などに取り組んでいかねばならない」との認識を示した。

 最後に、県建産連として「引き続き中小建設産業に対する受注機会の確保・拡大をはじめ、入札・契約制度や業行政施策の改善に向けて、組織的な活動に取り組んでいくために、各団体のみなさんの一層の協力をお願いしたい」と述べて、後事を託した。


 ◇上半期契約率7割/債務負担で平準化


 引き続き、来賓を代表してあいさつした県県土整備部の吉田伸行・災害・建設業担当部長は、千葉県が持続的に経済発展していくためには「老朽化が進む施設の長寿命化や東京五輪・パラリンピックに向けた道路ネットワークの充実など、中長期的視野に立ったインフラ整備等の維持管理が必要不可欠」としたうえで「本県の建設産業を担うみなさんの役割は、ますます重要になってきている」と強調。

 本年度の県土整備部における一般会計当初予算が1160億円余で、前年度当初予算比3%増となったことについては「最大限の予算確保に努めたが、さらに本年度は公共事業の早期実施について、上半期の契約率7割を目指し、積極的な執行を図るとともに、債務負担行為の広角的な活用などで施工時期の平準化を図っていく」と言明。一方で「県としては、建設産業の生産性向上や担い手確保の支援に努めていくので、みなさんにおいても経営基盤の強化により、県民の安全で安心な県土づくりに一層のご支援ご協力を賜りたい」と要請し、祝辞とした。


 ◇運用指針末端まで浸透・徹底/若者が将来を託せる魅力も/「2016年度事業計画」


 ◇2016年度の諸情勢

 政府と日銀による過去数年間の経済・財政政策が、株価上昇や雇用情勢、物価の安定につながり、長年続いたデフレ経済を脱却、回復基調に向かうかにみえた日本経済だったが、昨年後半から中国経済の鈍化傾向が明確になってきた影響や原油価格の下落などに引きずられる形で暗転し、今後の経済情勢は一段と不透明感を増幅する状況になっている。

 また、地方経済についても、依然として活性化する気配はみられず、新年度予算の早期執行と合わせて、新たな経済活性化対策を求める声が強まっている。

 千葉県の2016年度当初予算では、投資的経費である普通建設事業費が前年度に比べ減となったが、県では2月の補正予算とも一体化させて、切れ目のない執行で、地方経済の再生と活性化に取り組んでいく方針を示している。

 一方、公共事業を巡る情勢は、11年10月の政権交代により誕生した安倍政権が公共事業予算の大型補正を行ったものの、それ以降の単年度予算については、前年度の水準は確保しつつも、大型補正は行われない形で推移してきたことから、現在の公共事業予算は、前民主党政権による「コンクリートから人へ」をキャッチフレーズにした、11年度当初予算と変わらない水準にあり、その影響は、地方建設業に対するしわ寄せとなって表れている。

 建設産業界としては、政府による大規模な財政出動により、公共事業予算についても、思い切った補正予算が編成されることに期待している。

 いずれにしても、本年4月に発生した熊本地震のような大災害や地球温暖化等に起因するとみられる大型化した台風の襲来、爆弾低気圧、ゲリラ豪雨による河川の氾濫、洪水、竜巻の猛威等激烈化する一方の気象現象に加えて、火山噴火なども頻発し、人命と財産を喪失し続けている事態は、依然として自然災害に対する脆弱な国土整備の実情を露呈しているものであり、災害に強い国づくりを前進させていくことが喫緊の課題になっている。


 ◇受発注者双方の重要課題に取り組み


 このような情勢の中で、公共工事の品質確保促進法をはじめとする、いわゆる「担い手三法」により、建設産業の担い手を育成・確保していくために、受注者の適正な利潤を確保すること、そのために発注者は適正な予定価格を設定することをはじめとする責務が明示されたことから、この運用を地方公共機関の末端にまで浸透させ、徹底させていくことが重要課題として残されている。

 こうした発注者に課せられた責務の一方で、建設産業界には技術・技能者の育成確保と賃金、休暇、社会保険の未加入対策など、人材確保と労働環境の改善により、若者が将来を託すことができる魅力ある産業づくりへの取り組みが求められている。このほか、今後一層重要になる公共施設の長寿命化対策への貢献や、自然災害発生時の緊急対応と復旧活動を通じた地域住民の安全・安心確保、そして地域社会と経済の活性化に貢献していくための活動強化が求められている。 

 本連合会としては以上のような情勢と認識の下、次のような事業計画に基づく活動を展開していくこととする。


 ◇具体事業計画

 【建設産業構造改善事業の推進】

 ○建設産業イメージアップのための活動の推進=千葉県魅力ある建設事業推進協議会(CCIちば)が実施する建設産業のイメージアップを図るための活動推進に参画する

 ○各種講習会・研修会等の開催及び参画=①国土交通省、千葉県及び千葉県建設業協会ほかの会員団体が主催する講習会・研修会等を共催及び協賛参画する②新たな入札契約施策、社会保険未加入対策等に資する講習会の開催③労働環境改善、人材確保対策など、魅力ある職場環境づくりに資する講演会等の開催

 【要望活動】

 〈国、県に対する要望活動〉

 ○全国府県建設産業団体連合会(全国建産連)会長会議等の場を通じて、中小建設産業の立場を代表して要望活動を行う

 ○県土整備部との意見交換の場を通じて要望活動を行う

 ○自然災害から県土を守る施策の推進とともに、その一翼を担う地元企業に対する優先発注など、各団体が共通認識する事項について要望活動を行う。また、異業種間連携に資する意見交換会等を企画する

 【会員団体相互の情報交換と諸会議の開催】

 ○国及び県の行政施策等に関する情報を収集し、適時会員団体に提供する

 ○全国建産連の事業活動に参画するとともに、月刊「建産連」等関係資料及び情報を収集し、会員団体に提供する

 ○会員団体との連携強化を図るため、事務局長等連絡会議を開催する

 【諸会議】

 ○県建産連関係=①通常総会(6月14日)②理事会(年複数回)③正副会長会議(年複数回)④監事会(年1回)⑤会員団体事務局長等会議(随時)

 ○全国建産連関係=①通常総会(6月7日、東京・東海大学校友会館)②全国会長会議(9月12日、石川県)③評議員会④委員会⑤国等に対する建議・陳情(状況に応じて随時)

 ○県土整備部等との意見交換会・懇談会(11月)


 ◇新役員

 □会長=畔蒜 毅((一社)千葉県建設業協会会長、新任)

 □副会長=高橋順一((一社)千葉県建設業協会副会長)▽五十嵐治美((一社)千葉県電業協会会長)▽内藤栄男((一社)千葉県空調衛生工事業協会会長)▽望月勝保((一社)千葉県造園緑化協会会長)

 □専務理事=大林正章((一社)千葉県建設業協会専務理事)

 □理事=船越博文((一社)千葉県道路舗装協会会長)▽小池 毅((公社)千葉県測量設計業協会会長、新任)▽多田勝則((一社)千葉県地質調査業協会会長)▽栗原 宏(協同組合千葉県鐵骨工業会理事長)▽保美善和(千葉県コンクリート製品協同組合理事長)▽糠信雄司(千葉県建設防水工事業協同組合理事長)▽臼倉 進((一社)千葉県上下水道インフラ整備協会会長)

 □監事=寺田裕之(千葉県コンクリート製品協同組合副理事長)▽関 正一(千葉県建設防水工事業協同組合副理事長)

記事資料 記事資料 記事資料 記事資料

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら