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【技能労働者の確保・育成】大量離職時代へ中長期的対策を

2016/06/23 本社配信

 中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会が22日に開かれ、基礎杭工事問題で提言された構造的課題の対応策を含めた中間とりまとめの内容を了承した。大量離職時代に向けた中長期的な技能労働者の確保・育成に当たり、国土交通省が今回示した10年後の2025年度の技能労働者数が少なくとも約44万人減少するとの試算を踏まえて、人材投資成長産業を目指すべきと提言している。

 技能労働者数が増加傾向を示した10~15年度の直近5年間の若年層の変動率がそのまま続くと仮定した場合の将来数試算では、25年度の技能労働者数は約286万人となった。若手の技能労働者数が増加しても、それを上回る高齢者の離職が生じるため、約44万人の減少は既に若年層の入職促進のみで対応できる範囲を超えており、国交省では「今まで最も良かった数字を使った試算でも厳しい数字」としている。

 そのため人材投資成長産業の実現に向けて▽処遇改善▽キャリアパスの見える化▽社会保険未加入対策▽教育訓練の充実▽戦略的広報▽人材の効率的な活用を中心とする生産性向上の施策―の6つの重点施策に取り組む必要性を示した。また、高齢者、女性、若者、現役の離職防止、中途採用の「担い手5分類のターゲット」に即した総合的な取り組みの展開も求めている。

 構造的課題の対応策では他に、元請と下請の各技術者の役割や一括下請負を禁止する判断基準の明確化、技術検定制度の見直しなどを盛り込んだ。

 大森文彦委員長は「基礎杭工事問題で提言された建設業の構造的課題について1月から半年間で議論を行い、おおむね対応策を示すことができた。中間とりまとめに盛り込まれた施策の速やかな実行を期待する」と述べた。


【写真=中間とりまとめの内容を了承した】

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