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(一財)建設業振興基金

新分野進出ライブラリ102/産業副産物のキラ活用

2005/01/26 日本工業経済新聞(茨城版)

 ■新分野・新市場への取組又は先進的な取組等(以下「当該取組」という。)のテーマ

◇ヒートアイランド現象低減のアスファルト舗装の開発

 ■取組の内容

◇産業副産物である微粒珪砂(キラ)を開粒度アスファルト舗装に充填した路面温度上昇抑制機能を有するアスファルト舗装(クールベーブ)を矢作建設工業(株)と共同開発。

◇愛知県瀬戸地区の珪砂産業から年間約20万トン発生する産業副産物である微粒珪砂を活用したアスファルト舗装技術を展開。この微粒珪砂は産業廃棄物指定を受けていた。

◇今回開発した技術は、一般的な舗装面に対して路面温度低減効果があり、持続性にも優れている。

 ■アイデア発案の契機

◇産業副産物である微粒珪砂を舗装用コンクリートブロックに20%利用する技術と製造方法を矢作建設工業(株)が開発し、特許出願と製造販売を開始した。

◇この研究開発過程のなかで、微粒珪砂の保水性能が非常に高いことが解り、路面温度を低減できる保水性コンクリートブロックを開発した。

◇保水性コンクリートブロックは、一般アスファルト舗装の5~6倍の価格であるため、利用が限定される。

◇より低価格で路面温度低減効果のある舗装が地域社会に貢献できる舗装と考え、開粒度舗装をベースにした路面温度低減舗装(クールベーブ)の開発に着手した。

 ■社長の役割と社内の実行体制

◇社長の役割

 ・循環型社会の形成を目指し、新商品の開発や環境問題に対応したリサイクルなど、技術力を磨き、地域社会に貢献できる組織づくり。

◇社内の実行体制

 ・当社は、施工部門、アスコン・リサイクル工場、重機部門及び試験室部門を兼ね備えており、一貫して、ゼロエミッションに向けて体制づくりを行っている。

 ■従業員教育、新規の人材確保等の方法

◇従業員教育

 ・フィールドを設けての実施体験、また定期的なレベルアップ教育。

◇新規の人材確保等の方法

 ・限られた人材の中で全社員が一丸となり、技術力のレベルアップを図っている。

 ・異業種にもアプローチすることにより、新しい技術を取り込み、研究開発視野を広げていく。

 ■事業化までに至る間で苦心したこと、及び成功の要因

◇微粒珪砂を充填する量により、温度低減率が変動する為、アスファルト合材の粒度、空隙率及び温度また充填方法に苦慮した。

◇現段階では、要求事項を満足する為に、継続的な活動を進めている。

 ■相談・助言、情報収集等の相手先

◇名古屋大学大学院都市循環システム専攻梅原教授

◇微粒珪砂活用研究会にて相談・助言、情報収集

◇矢作建設工業(株)との共同開発

 ■主たる顧客等

◇愛知県内の官公庁、コンサルタント及び各種団体組織

◇民間施設の駐車場及び通園路

 ■差別化等のポイント

◇水の蒸発散により、夏期の路面温度が通常のアスファルト舗装に比べて10~15℃低減でき

る機能を持っていること。

◇産業副産物を有効利用していること。

 ■投資額及び必要資金の調達法

◇平成13年度300万円

◇平成14年度500万円

◇平成15年度400万円

◇年度始めに研究開発費として予算計上

 ■事業のスタートから現在までの売上及び利益の推移

◇平成14年度見込み工事

 <1>岡崎市内A1000㎡300万円

 <2>藤岡町内A1000㎡200万円

◇現在のところ利益については、実績拡大のため薄利であるが、受注拡大により利益の増を見込んでいる。

 ■大きな成果と思われるもの

◇今までは、新技術開発への積極的な取り組みが不十分であったが、この開発により、地域社会のニーズに答えると共に、社内組織の活性化と技術力の向上に取り組む姿勢が社員全体に芽生えた。

 ■今後の課題と解決方針

◇総合評価方式をにらみ、機能を満足し、かつ、低コスト商品になるよう取り組んでいる。

◇平成15年度中に車道対応型クールベーブを商品化させる。

◇官民の営業展開を強力に進める。

 ■公的助成・支援制度の活用状況

◇今現在活用なし。

◇官、民、産の共同技術開発支援制度があれば活用したい。



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