県企画部統計課は、県内で建設業や小売業などで働く300人を対象に行った茨城県景気ウォッチャー調査の昨年12月分をまとめた。景気の現状に対する意見は、昨年9月の調査と比べて「悪くなっている」との回答が増えたため、景気動向指数(DI)は1・6ポイント減の48・3となり、「横ばい」を示す50を前回調査に引き続き上回った。景気の3か月先の見通しでも、先行き指数(DI)は6・0ポイント減って46となり、横ばいの50を下回り、厳しい見方が多い結果となった。
調査は、景気の現状と先行きを<1>良くなっている<2>やや良くなっている<3>変わらない<4>やや悪くなっている<5>悪くなっている-の5段階で判定してもらい、その理由も聞いている。
景気に対する建設関係業界の主な意見をみると、「見積り件数は増加しているものの、競争が激しいため落札しても非常に厳しい内容」(県北地区・建設業)、「受注量が増加した。しかしながら、利益率は相変わらず良くない」(県南地区・建設業」などが出ている。
その他の意見では「新潟県中越地震で近隣企業の耐震補強の意識が強くなり、専門技術者への相談・依頼が増加してきた。必要なことに予算をとり実行に移ろうとする意識がうかがえる」(建築設計事務所・県西地域)という声があった。
昨年12月調査における建設関連業界の主な意見は次のとおり。
【景気の判断理由】
◆県北地域
(住宅販売会社)受注数に変化がない。
(建設業)見積り件数は増加しているものの、競争が激しいため落札しても非常に厳しい内容となっている。
◆県央地域
(建設業)受注金額が増加している。ただし、地元企業への直接的な影響はないにせよ、円高によりいろいろと弊害が出てくるのではないかと思われる。
(住宅販売会社)客の動向等に変化が見受けられない。
(建築設計事務所)今年度前期は施設の設備投資が多少活発になった感もあったが、後期になり投資意欲及び景気の後退が感じられる。
(コンサルタント業)景気を刺激する材料が見当たらない。
◆鹿行地域
(住宅設備施工業)年末に向け仕事が少し増加した。
◆県南地域
(建設業)受注量が増加した。しかしながら、利益率は相変わらず良くない。
(建築設備業)受注が増加している。
(建築設計事務所)良い話が聞かれない。
(建設業)景気が良くなっているとの声が聞かれるが、建設業界は皆厳しい状況にある。
(コンクリート製造業)他地域の台風、地震等による国の補正予算の集中化及び市町村合併のため、各市町村の工事物件の発注が減少している。
(建設業)前年同期より受注が少ない。下請会社からも年々景気が悪くなっているとの声が聞かれる。
◆県西地域
(建築設計事務所)企業関係の建設のための設計業務が増加している。
(住宅販売会社)3か月前と比較して来場者数などに変化が見られず、客自身にも変化はないと思われる。
(建設業)工事量は増加しているものの質や金額等が小さいため、人件費ばかりが先行している。
【景気の先行き判断理由】
◆県央地域
(建設業)年度末へ向けて仕事量は増加すると思われる。
(建築設計事務所)減税の廃止案や消費税率アップ等、消費者の購買意欲を削ぐ話題のために再び景気が後退することが懸念される。
◆鹿行地域
(住宅販売会社)税制が変わり何らかの影響はあるかもしれないが、3か月では大きく変わることはないと思われる。
(住宅販売会社)特に期待できる景気対策がない。
(住宅設備施工業)見積りがあまりないため変わらないと思われる。
(室内装飾業)周りを見ても家を建て替える人がいない。分譲地はあるものの売れている様子もない。
◆県南地域
(建築設備業)見積り件数が増加している。
(建築設計事務所)計画段階で融資に行き詰まっている。
(コンクリート製造業)公共工事の減少傾向は今後も続くと思われる。
(建設業)受注の見通しがあまり立たない。
(建設業)見通しが立たず、不安である。本当に仕事が少なくなっている。
◆県西地域
(石材業)石材業界にとって3月は忙しい時期である。
(建築設計事務所)長期的な大規模の業務が少ない。
【その他の意見】
◆県北地域
(建設業)分譲マンションの建設が多く見られる。需要もあり売れているようだ。
(建設業)市町村合併とともに地方からの移動が見られており、12月ということもあるのだろうが人の動きはあるように感じられる。
◆県央地域
(建築設計事務所)大企業の好況はリストラ等痛みを伴ったものであるし、また地方の中小企業においてはまだまだ景気が上向いているとは思われない。
(建設業)勝ち組・負け組がより一層明確に分かれてきているように感じられる。
◆鹿行地域
(住宅設備施工業)大工の忘年会も控えめで少なくなった。
◆県南地域
(建築設計事務所)相変わらず住宅メーカーやチェーン店による増新築が多い。
(コンクリート製造業)ある金融機関の取引先が財務内容の悪化により倒産した。
(建設業)企業の設備投資の依頼もそれほど多くなく、来年度の予定が立たない。設備投資が活発化していると言われているが、1部上場企業ですら100万円単位の工事しか出ていない。
(建設業)近隣の企業も上向傾向であるようだ。
(建設業)投資の案内など、何とかごまかして儲けようとする電話が毎日のようにある。また、価格の安い店や100円ショップ等がとても繁盛している。
◆県西地域
(建築設計事務所)新潟県中越地震があったことで、近隣企業の耐震補強の意識が強くなり、専門技術者への相談・依頼が増加してきた。必要なことに予算をとり実行に移ろうとする意識がうかがえる。
(建設業)自動車産業は景気が良いようであるが、建設関係は石油製品、鉄鋼の値上げや品不足(鉄)があり、いまだ回復していない。また、大手ばかり民事再生法を適用させているが、あまり意味がないように思われる。
(コンサルタント業)最近、建設骨材等を運搬するダンプカーの動きが目立ってきているように思われる。しかし、軽油等の価格上昇で内情はかなり厳しいようである。