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埼玉県さいたま市

8kmの掘削と遊歩道/高沼用水東・西縁基本計画提言まとまる

2005/01/29 埼玉建設新聞

 さいたま市建設局は、高沼用水路の環境保全と治水対策を目指し、昨年5月から協議を行っていた「高沼用水路整備基本計画策定会議」(41人)は、同12月の第7回会議で整備方針などをまとめた。同会議からは、遊歩道に整備や水路の蓋掛けといった上地整備方針、市側からは、水路掘削などが提案された。検討エリアは、さいたま新都心より下流の高沼導水路および高沼用水路(東縁・西縁)の約8km。17年度は庁内担当課との調整、鴻沼川へ放流する放流協議を県と行う。計画が事業化されるのは、早くても18年度からとなりそう。実施にあたっては、どのように補助メニューを設定していくかが今後の課題。

 高沼用水路は、見沼代用水西縁から取水し、さいたま新都心駅の南側を地下で横断した後、たつみ通り以南で東縁と西縁に分岐、JR中浦和駅の西側で鴻沼川に注ぐ農業用水路。幅員は4m~10m程度。

 現状は、農地減少により当初の役割はごく一部となり、雨水を流す排水路として活用。用水路周辺は、都心部に残された貴重な自然環境空間となっている。

 「市民参加型の川づくり」として、発足した同基本計画策定会議は、沿川自治会長24人、一般公募20で構成。現地散策の後、委員を4班に分け、新都心から東西縁分岐点(1班)、東縁(2班)、西縁(3班)と、東浦和方面(4班)で個別協議を実施。

 このうち1、2班では、水路全沿線を散策できる遊歩道の設置や、水路を蓋掛けし上部に歩道を設けるなど、主に上地整備方針を検討。一方、市側からの提案では、検討にあたって会議当初で「治水対策の向上」「用地買収は行わない」「河川法の遵守」ことをルール化したため、掘削による流量の確保、自然護岸や、安全施設の設置などを提言。

 両者からの提案書は現在、特定非営利活動法人都市づくりNPOさいたま・つくたま(緑区)が3月末納期を目指し、意見書の取りまとめを行っている。

 基本計画を受けて市は17年度、各関係機関との調整を行う。

 課題となっているのは、同用水路が普通河川のため補助対象河川にならない。このため、水路を全体な整備区間と捉え、補助対象事業を当てはめながら有効な整備方策を探る。建設局は、今後、市内および4月に合併する岩槻区域内にある同様な水路を改修する祭、「市民参加と補助導入に向けたモデル事業として、軌道に乗せたい」と話している。

 水路整備に関してはこれまでに、三井共同建設コンサルタント(さいたま市、電話048-647-7890)が基礎調査、塩川設計測量(同、電話048-862-8171)が縦断面測量などを行ったほか、埼玉県生態系保護協会(同、電話048-645-0570)が生態系調査を実施している。



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