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国土交通省関東地方整備局(建設)

地域密着型を布石に/見直すべき経営資源/中小建設業の新分野進出

2005/02/18 

 「中小建設業の新分野進出セミナー」が16日、東京都港区虎ノ門の独立行政法人中小企業基盤整備機構で開催された。主催は国土交通省関東地方整備局、関東地方建設産業再生協議会、中小企業基盤整備機構関東支部。講演では「時代に生き残る秘訣~戦略的な経営改善の進め方」と題して倉見康一氏(セントラルビジネスコンサルティング社長)が「建設業界の未来予想図」を語った。倉見氏は「中小建設業の地域密着型のすばらしい経営資源を見直すべき」で、「今までお付き合いのあったお客様を大事にすることが今後の布石につながる」と述べた。

 続いて、建設業再生アドバイザー・中小企業診断士の山北浩史氏が「時代に勝ち残る秘訣~新分野進出のための手順と事例」と題して講演を行った。山北氏は新分野進出のリスク分散・相乗効果の検討をマトリックス形式で行った。また、経営資源の質と量の高低・多少によって▽リーダー戦略(業界内で最大の市場占有率を占めるリーダー企業の場合の全方位型の基本戦略)▽チャレンジャー戦略(リーダー企業に対して果敢に挑戦し、優位的差別化を発揮する基本戦略)▽ニッチャー戦略(リーダー企業が参入しにくいニッチ・マーケット・隙間市場に資源を集中化させる基本戦略)▽フォロワー戦略(市場で生存するため、他の三者に追随するため、三者の企業行動を模倣する基本戦略)、の4つの型の企業戦略を紹介した。

 さらに、山北氏は「勝ち残る秘訣」として▽時代の先取り精神▽チャレンジ精神▽変化に迅速に対応する組織づくり▽企業ビジョンの明確化▽保守的体質の打破▽マクロ的・長期的視点▽連携による資源の補完、の7項目をあげた。

 主な新分野進出事例としては▽地質汚染調査・浄化(北海道)▽バイオテクノロジーによる水産加工残さ物処理事業(北海道)▽小規模・多機能型介護施設の運営(山形県)▽産廃中間処理場の温熱を活用したほうれん草栽培などのアグリビジネス(福島県)▽業際連携による建設工事用「固体高分子燃料電池」を用いた各種電源装置の開発(栃木県)▽無線タグを利用した下水道保守点検、劣化診断、維持管理のトータルシステム確立事業(東京都)▽環境共生業をコンセプトとした養魚用水を利用したマイクロ水力発電事業(長野県)▽輸送サービスなどのまちづくりに貢献する地域密着の企業経営的展開事業(長野県)▽地中熱を利用したヒートパイプ融雪システムの開発・応用化事業(新潟県)▽面状ヒーターを利用した竹炭とセラミックス融合による健康配慮型商品の開発事業(新潟県)▽統一ブランドの共同販売促進によるリフォーム受注フランチャイズ化事業(富山県)▽環境関連企業との連携による汚泥・汚水の粒状固化など建設関連環境事業への進出(静岡県)▽環境配慮型ポーラスコンクリート開発による食害防止・増殖礁建設などの漁業技術支援事業(徳島県)▽地下温度差を利用したエコロジー・エアコンシステムによる牧畜業への技術支援調査事業(宮崎県)



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