■新分野・新市場への取組又は先進的な取組等(以下「当該取組」という。)のテーマ
◇協会設立によるリサイクル工法の関連商品の販売
■取組の内容
◇RC工法(recycle Cedar&Cypress)は、産廃として捨てられていた杉や桧の樹脂を土に混合して活用するリサイクル工法。その土は、クッション性のある復元力を生み、土中に酸素を入りやすくするため植物の根腐れを防ぐ効果がある。
杉、桧の樹皮は、フィトンチッド効果(木々の発生するフィトンチッドによる人間への効用、香りによる森林浴効果)に優れ、腐りにくい繊維質であるため、土中に入れ攪拌すると樹皮同士の毛細管保水性が拡大する利点を持っている。この効果で、無農薬、省肥料が促進され、環境保全も推進される。
本工法は全国各地にある「CC緑化協会」で普及活動が行われている。当初、富山県内にはCC緑化協会がなく、平成12年、朝日建設(株)を中心に「富山県CC緑化協会」を立ち上げた。
■アイデア発案の契機
◇平成10年10月、自社の保養所兼研修所である「アサヒ・ツインドームズ」(富山県八尾町、平成5年8月完成)のスポーツターフを整備する際に、実験的にRC工法を採択した。従来工法とRC工法の両方を試してみたが、RC工法の芝は従来工法で植えた芝に比べ緑が濃く、密生して生えており、違いに驚いた。
そのような状況の中で、所属している「全国建設21の会」のメンバーの西野賢太郎氏(西野建設(株)、徳島県)が、RC工法の普及のために四国CC緑化協会を設立したことを聞いた。西野氏の「建設産業の発展のためには林業や他産業にも目を向け、一緒になって事業展開をすることが必要」という考えに共感し、RC工法の品質の確かさも確認済みであり、「富山県CC緑化協会」の設立を決意した。
■社長の役割と社内の実行体制
◇社長が中心となり、経営企画室の2名とともに、富山県CC緑化協会の設立準備を進めた。会員は、富山県舗装協会の会員を中心に、造園業者も加え11社で構成。
同社は会長会社として協会の事務局をしており、協会の定例会議や会費徴収等を行っている。
■従業員教育、新規の人材確保等の方法
◇特に技術開発をしたわけではないので、RC工法のために従業員教育や人材確保は行っていない。協会も事務負担は多少増加したが、通常業務の中で執り行っている。
■事業化までに至る間で苦心したこと、及び成功の要因
◇協会の設立は、これまでの仕事の経験を通して、信頼関係にある業者に声をかけたので大きな苦労はなかった。各社の関与の仕方は、まだまだ温度差があるように感じている。
■相談・助言、情報収集等の相手先
◇四国CC緑化協会の西野氏に、相談し助言をもらっている。協会の設立・運営だけではなく、今後の建設産業での取組みの方向性等についても多くの示唆を得ている。
■主たる顧客等
◇RC工法は、個人宅の芝張工事から自治体の法面緑化工事、民間企業の植栽工事等、様々な場面で活用できる工法であるため、外構工事が発生する場所は全て顧客になり得る。
コスト的には多少割高になるため、高い品質を求める顧客に対しての広報活動が重要。特に公共工事に関しては、できるだけ提案を行うようにしている。
■差別化等のポイント
◇「儲ける」ための事業ではなく、良いものを広めたいという気持で進めている。「誰もが安心して生活できる富山県にしたい」という決意で行っている。
■投資額及び必要資金の調達法
◇既成技術の普及活動なので、取組みに対する投資は特にない。協会の運営に関する支出は定例会議等の実費である。
■現在までの売上及び利益の推移
◇維持管理等の支出はほとんどないので、利益は受注件数に比例する。今後は、これまでより一層リサイクルや環境保全が言及されていくと予想されており、時代にマッチしたRC工法は需要が増加すると考えている。
多少割高になるRC工法の受注のためには、顧客の理解が必要となる。そのためにも、広報活動を強化し認知度を上げる努力が必要と考えている。
■大きな成果と思われるもの
◇様々な人との出会いがあり人脈が深まった。この人脈は、他産業と連携を組み事業展開を図るときにも役立つと考えている
■課題と解決方針
◇今後は、さらにPR活動に注力し、認知度の向上とともに、受注量の増加に結び付けたいと考えている。
■公的助成・支援制度の活用状況
◇事業の立ち上げ、運用について、特に補助金は使っていない。しかし、RC工法の普及のために行政の理解と協力は不可欠と考えている。