県管理課技術調査室では現在、CALS/ECの導入に向け、15現場において実証実験を行っている。県はCALS/ECの導入を「業務の効率化」、「データ利活用」によりコスト縮減を図ることを目的としており、今回の実験を通して問題点を吸い上げて改善を図るとともに、「どのように進めていくことが最も効率が良いのか」を見極めていきたい考えだ。
◇県の実証実験
今回の実験は、工事12件、業務3件の計15件が対象で、一般的な土木工事や委託業務を抽出、かつ初期の取り組みから検証するため9月~10月にかけて発注された案件を対象にスタートした。また、情報共有システムについては、より効果を高めるために簡易プロポーザル方式により日本電気前橋支店、構造計画研究所、日立製作所群馬支店の3社を特定、3社が開発したシステムを使用している。
実験は、写真、書類の管理、また担当者同士のやり取りも電子化で行っており、最終的にはCDにデータをまとめ、電子納品という形で発注者側へ提出する。
情報の共有化とは、例えば写真の管理の場合、受注者側が現場で撮影した写真データを情報共有システムへ登録・保存する事で、発注者側からもその写真を見ることが出来る。書類も同様で、共有のシステムに保存する事で両者から見ることが出来る。また、担当者同士のやり取りは電子メールで行い、業務の効率化を図る。
一方で、全てを電子化すると逆に効率が悪くなるというケースも考えられ、県はあくまでも「業務の効率化」を目的に、今回の実験を通して、導入メリットや問題点を整理し、どのように進めていくことが最も効率的かを見極めていきたい考えだ。
◇受注者側の反応
今回の実証実験の対象となった工事の担当者に、これまでの率直な感想を聞いた。
パソコンでの操作について難しさは?
-最初は慣れない事なので面倒と感じたが、慣れてくれば楽な面が多いし、操作自体も難しいものではない。
業務効率は上がった?
-電子化した事で、実際に土木事務所へ行く回数も減っており、全体としては業務の効率化にはつながっていると思う。
逆に手間が増えた部分は?
-例えば現場で安全訓練を行い、作業員にサインをしてもらった書類はスキャンしてデータ化しており手間がかかっている。どこまでを電子化するのかというのは今後の課題だと思うが、全てデジタルでというのは難しいと思う。
今後CALS/ECが導入されるとして問題点は?
現場毎に状況が違い、特に山間部の砂防事業などではインターネットに接続出来ない地域や、出来てもISDN(※ひとくちメモ)だけという現場も出てくると思う。そういう様々なケースにも対応出来るシステムにして欲しい。また、受注者側としては、国、県、市町村毎に違うシステムだと大変。全てとはいかなくとも、出来るだけ統一させて欲しい。