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国土交通省関東地方整備局(建設)

高田邦彦局長就任インタビュー、コンサルタント業務は本来すべてプロポーザル方式でやるべき

1999/08/06 

 高田邦彦(たかだくにひこ)・建設省関東地方建設局局長就任インタビュー

 就任の抱負は、業務として関東地建がやらなければならないことは適切に執行していくことは当然のこと。それ以外にいち個人としての抱負は、我々はどちらかというと知識偏重主義になり過ぎている。技術力は知識としての技術と、実際の上での技能みたいなものが両方あって、頭の中で考えられる知識としての技術にとらわれすぎるのではないかと思っている。知識として得られた技術だけではなくて、実際に現場で使える知識とが一体となったトータルとしての技術力が大事。前の土木研究所企画部長のときのモットーは、最近、専門技術者に対する不信がいろいろな形であらわれている。プロフェッショナリズムに対してアマチュアリジムという言葉がある。もう少し一般の人がわかるような形で物事を考えないといけいなし、一般の人の考えに、ある程度あわせるならばどういう問題があるかという意味でアマチュアリジムを考えないといけない。一つ一つの判断を個人とし判断したらいいのではないかと前から言っています。それが少し行き過ぎてきたのではないか。専門家が専門家として自信を持って、自分の言葉ではっきりできるものはできる、だめなものはだめというべき。ぜひ言ってもらいたい。今はムードで判断し過ぎていないかと思います。

 あと、関東地建は非常に大きな予算を任されている。適切に執行して少しでも早く経済回復に貢献できる努力をしていきたいと思う。

 また、技術力を真剣に考えていきたい。発注業務においても技術力をもっと評価して、本当にいいところに仕事をしてもらう。少しでも近づけるように進めていきたいと思います。

 当地建の問題としては、大宮移転を抱えています。業務を滞りなくやっていきたい。

 国全体としては行財政改革がある。新しい組織再編にあわせて決まった限り、そういう方向に行く中でベストな方向を考えていきたい。職員の中にも不安はあると思う。私たちがカバーしながら、国民の期待にこたえられるよう適切な組織改変に対処していきたい。

 具体的な事業としては、建設省が国土交通省になり、今までのような一つ一つの施設だけではなく、地域計画や街づくりというよううな幅広く取り組んでいかなければならない、大きな今後の課題。今までの進めてきている事業の中で考えるならば、国としてやるべき骨格は何か。それは、長期的に将来地域住民に必要になってくるだろうという事業を重視。トータルシステムとし、ねばり強いとういうか、しっかりとした社会資本のシステム化を考えていかなければならない。ベースになる治水事業、防災対策事業を含めて地建としては一番大きな課題。

 新しい試みとして、建設省がおそらく今年度、来年度に重点的な取り組みとして進めているもので、新しい技術の試みがあります。道路でいえばITSという事業、河川では多自然型河川づくり、自然との共生などがあります。河川は私が見ると、河川の使い方に対して今までは閉鎖し過ぎてきたように感じます。環境というキーワードの中でいろいろ変わってきている。

 発注業務の技術力というのは、私が常々思うのは、コンサルタント業務は本来すべてプロポーザル方式でやるべきだと基本的には思っています。値段だけ入れてくださいというのは変な話です。素直に考えればそういうふうにやるべきなのだろう。何が問題で、何をどういうふうにするのか、どんな取り組みが考えられるかという提案をもらいやるべき。値段が高くても信頼できるところを皆さんの生活の中でも選ぶはずです。先ほどいった専門家がもっと自信をもってやって欲しいというのは、我々は技術力の評価を下げてきたような感じがします。これがいいと言えば、なぜそれがいいのかということになるため避けてきたのではないか。本当はこちらのほうが将来的にはおもしろいと思い避けてきた。本当はこっちがいいと言った結果リスクも出てきます。やってみればこっちのほうがよかったとういうふうに。それは仕方がない。選んだ結果に対してしかられる場合は覚悟の上で、その上で、これが一番いいと思ったと、はっきり専門家として言わないと、技術力と口で言っても一向に評価していないことになる。VEや総合評価方式など提案を受けて、その提案を受けて一番いいものは何かとはっきり意思表示をする。意思表示して欲しいという意味で専門家はもっと自信を取り戻してほしい。新しい技術を開発すれば割高というのは、何のために研究開発したのはわからない。我々の研究開発は安全である、安くつくる、できなかったことをやれるようにする。どれでも値段が安くなるはずです。需要を見込まないで研究開発しても意味がない。三カ所しか使えないものを研究開発しても仕方がない。私は技術開発した成果とは、トータルとしては必ずコストのどこかで安くなっているはず。安全性が上がることは、今まで安全性に気をつかっていた経費を節減できるはずです。総合評価で見ると、やっぱりお金はかけるが安全性が上がったんだとういうふうに思っています。将来性があるため値段がかかるとういう話にはならない。



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