記事

事業者
中小企業庁,国土交通省

【下請取引調査】標準見積書の活用状況が大幅に改善

2017/12/27 本社配信

 全国約1万4000の建設業者を対象に国土交通省と中小企業庁が行った2017年度下請取引等実態調査の結果、法定福利費を内訳明示した標準見積書の活用状況が大幅に改善されていることが分かった。また、技能労働者へ支払う賃金水準について、予定を含めて引き上げると回答した建設業者が8割を超えたことも明らかになった。

 標準見積書に関しては、元請業者が下請業者に対して提示を全部または一部の下請契約で働き掛けている割合は60・7%で、前年度から21・9ポイント増加した。さらに、下請業者から元請業者に対して標準見積書を全部または一部の工事で提出している割合は64・1%で、前年度より17・5ポイント増えている。

 一方、元請業者が標準見積書の提示を働き掛けていない理由としては、「必要な法定福利費相当額を契約金額に含めて支払っており、活用する必要がないため」が最も多く、下請業者が標準見積書を提示しない理由では、「注文者が提出を求めてこなかった」との回答が目立った。

 賃金の関係では、技能労働者へ支払う賃金水準を引き上げた、あるいは引き上げる予定があると回答した建設業者は80・0%で、前年度比で10・2ポイント増加し、質問を始めた13年度以降、4年連続の増加となった。引き上げた理由として最も多かったのは「周りの実勢価格が上がっており、引き上げなければ必要な労働者が確保できないため」だった。これに対し、引き上げない理由では、「経営の先行きが不透明で引き上げに踏み切れない」が最多となっている。

 今回の調査では建設工事を下請業者に発注したことがある8976業者のうち、是正指導の対象となる27項目中、21項目において前年度よりも適正取引を行っていると回答した率が増加した。指導の必要がないと認められた建設業者は596業者(6・6%)で、前年度の4・0%から増えている。依然として低水準ながら、過去最高の数字となった。適正回答率が低い調査項目は「見積提示内容」や「契約条項」に関するものだった。

 なお、調査結果により建設業法に基づく指導を行う必要があると認められた建設業者に対しては、是正措置を講じるように指導を行っている。

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら