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茨城県公共事業コスト構造プログラム(その3)

2005/05/12 日本工業経済新聞(茨城版)

 【強化路線の選定による用地取得のイメージアップ】

◆概要=公共用地の取得にあたり強化すべき路線等を選定し、用地取得のための進行管理体制を強化することにより、早期の用地取得を実現する。

◆効果

 <1>強化路線等の選定=地元市町村から強い要望がある主要な幹線道路等。他のプロジェクト事業等と関連し緊急に進めなければならない路線等。用地取得が遅延し事業が長期間停滞している路線等。緊急に災害等の防止を進めなければならない路線等。

 <2>進行管理体制の強化=強化路線等の用地取得について、進行管理体制を強化することにより、問題点に対し早期の対応が可能となる。

 <3>公共用地の早期取得を実現することにより、事業の早期発現につながる。

【道路の1・5車線的整備によるコスト縮減】

◆概要

 従来は全線2車線整備→地域の実情に応じた1・5車線的整備(待避所の設置、線形是正、視距改良等)。

◆効果

 従来の一律的な2車線整備にこだわらず、その地域の実情に応じた1・5車線的整備を実施することにより、早期整備や事業費の縮減を図る。

 <1>事業費の縮減=従来は約30億円→約3・5億円(約26・5億円の縮減)。

 <2>事業期間の短縮=従来は30年間→5年間(25年間の短縮)。

 <3>環境負荷の軽減=山切工事の削減等。

【接続点の変更・追加による下水道幹線の合理化】

◆概要

 流域下水道と公共下水道の接続点の変更・追加による幹線整備の合理化。流入接続点の変更・追加を行ない、工事費用の縮減、事業便益の早期発現を図る。

◆効果

 維持管理用のマンホールを、流域下水道と公共下水道の流入接続点とすることにより、公共下水道幹線の整備延長の短距離化を図る。

 <1>工事費用の縮減=整備延長の短距離化による施工費用の縮減。

 <2>工事期間の短縮=早期供用開始の実現(事業便益の早期発現)。

◆合理化の背景

 流域下水道の管理要綱の改正により、従来は接続点ごとに設置していた流量計を、市町村境界の1箇所で管理することが可能となり、接続点の自由度が向上する。

【高性能アスファルト使用によるコスト縮減】

◆概要

 道路工事における高性能アスファルトの使用。従来は通常の排水性アスファルト→高耐久性の排水性アスファルト。

◆効果

 道路工事において、高性能アスファルトを使用することにより、耐久性が向上し、舗装の更新期間を長期化することができ、維持管理費のコストが縮減される。

 <1>舗装更新期間=3年→4年。

 <2>舗装工事費=約800円/㎡年→約600円/㎡年(25%の縮減)。

【道路幅員の見直しによるコスト縮減】

◆概要

 L型側溝の採用により道路の全体幅を0・5m縮小。カーブ部分について幅員規格の見直しにより道路幅員を最大1m縮小。

◆効果

 <1>従来のU型側溝をL型側溝に変え、路肩内に設置することにより、通行可能幅を変えず、道路の全体幅を0・5m縮小。。

 <2>カーブ部分の幅員規格の見直しにより、道路幅員を最大で1・0m縮小。

 <3>全体工事費(切土量、残土量、法面保護工等)において約5200万円の縮減を図れる。

【水処理監視制御システムを汎用ソフトで構築することによるコスト縮減】

◆概要

 水道用水供給事業並びに工業用水道事業で、従来の中央監視システムは電気機器メーカーのソフトを使用し構築していたが、今後の設備更新にあたっては汎用品を極力使用し同システムを構築する。

◆効果

 汎用品の使用によるシステム構築費及び維持管理費の削減。

 <1>中央監視システム(汎用品:ソフト「Windows」、プリンター、画像表示装置等)。

 <2>遠方監視装置システム(汎用部品の使用、部品の共用化)。

【設計VEによるコスト縮減】

◆概要

 橋梁設計における設計VE(Value Engineering)の活用。5径間連続PC箱桁(場所打ち杭基礎)→5径間連続PC箱桁(合成鋼管杭基礎)。

◆VE提案採用による効果

 <1>合成鋼管採用によるコスト縮減、工期短縮、建設廃棄物の減少。

 <2>桁高抑制による縦断勾配の低減。

 <3>現案に比べて約3300万円(約3%)のコスト縮減。

◆設計VEとは

 複数の技術者からなるVE検討組織により設計の見直しを行い、コスト縮減等に関する検討を行う手法。

【新技術活用を促進するための環境整備】

◆概要

 新技術の活用促進(発注者が新技術を導入しやすい環境整備)。従来は国土交通省版データベースを利用→県版の新技術データベースの構築。

◆効果

 <1>県版のデータベースを構築することで、新技術等の情報検索を容易にし、設計計画段階や工事発注段階など、事業のより早い段階から、新技術を導入できる環境が整備される。

 <2>県版データベースを活用し実施した工事については、コスト縮減効果など導入効果について発表会等でフォローアップする。

【排水機場のポンプゲート採用によるコスト縮減】

◆概要

 従来は固定式陸場ポンプ→ポンプゲート機場。

◆効果

 <1>機場敷地面積が小さい。

 <2>ポンプ設備建屋不要。

 <3>吸い込み水路不要。

 <4>樋管ゲート不要。

 <5>建設費用、保守点検費用が安価。

【洪水調整池造成の大気圧載荷工法採用によるコスト縮減】

◆概要

 従来は固結工法→大気圧載荷工法(N&H強制圧密脱水工法)。大気圧工法とは、真空駆動装置で気密シート下を減圧し、真空もしくはそれに近い状態にし気密シート内外の圧力差を圧密応力として利用し、粘性土地盤を圧密改良する。

◆効果

 <1>短期間で均質・確実な沈下促進(間隙水をポンプで強制排水)。

 <2>地盤破壊の恐れがない。

 <3>載荷盛土工法と比較して工期短縮・工費削減が可能。

 <4>周辺地盤の変状を軽減<5>環境にやさしい。

 ※従来工法に比べて2億7700万円の縮減。

【整地工の反転均平工法採用によるコスト縮減】

◆概要

 従来は表土扱い工法→反転均平2工法を活用。レーザープラウで土壌の反転耕起を行い、レーザーレベラーで運土・整地を行う。

◆効果

 <1>作業速度が速く、土壌の練り返しや過転厚が少なく、作業機がレーザー機器により自動制御されるため、オペレーターの熟練度による較差が少ない。

 <2>表土と心土をプラウにより同一場所で反転するため、表土の移動や運土量が少ない。

 <3>区画の大小に係わらず短時間に高精度な施工が可能である。

 <4>ほ区条件により事業費コストの縮減が図れる。

 ※整地工の工事費=99万円/ha→53万円/ha(46万円/haの縮減)。

【浅層暗渠工法の導入によるコスト縮減】

◆概要

 従来は標準暗渠工(開削、陶管φ75、間隔10m)→浅層暗渠工を採用(自動埋設、ポリ管φ50、間隔5m)。

◆効果

 <1>耕土直下まで被覆材(モミガラ)を充填するため、排水効果が持続する。

 <2>掘削作業がないため、田面を荒らさず、農作業が良好となる。

 <3>吸水管と被覆材の同時布設され連続作業のため工期が短縮され、工費も安価となる。

 ※暗渠工の工事費=10万5000円/10a→8万9000円/10a(1万6000円/10aの縮減)。

【耐腐食性コンクリートの使用によるライフサイクルコストの縮減】

◆概要

 従来は通常のコンクリート使用→耐腐食性(抗菌)コンクリートを使用。

◆効果

 <1>硫化水素の発生により、腐食が懸念される箇所(管渠及びマンホール)に耐腐食性のコンクリートを使用することで、施設の延命化を図るとともに維持管理費の縮減が可能となる。

 <2>管渠寿命の延命化(将来必要とされる管渠更新工事の時期を遅らせることができる)。

 <3>維持管理費の縮減(腐食した管渠の修繕費用の低減が可能)。

◆下水道コンクリート構造物の腐食原因=下水から発生する硫化水素を硫酸に変化させる硫黄酸化細菌が原因で腐食するとされる(10年間で3cm以上の劣化事例もある)。

◆対策

 硫黄酸化細菌の活動を抑制する防菌材を混入したコンクリートの使用により硫酸の生成を減らす。

【レシプロ方式・円形池の採用による処理施設(機械形式)の見直し】

◆概要

 従来は、最初沈殿池・矩形池4池12水路→円形池2池。従来は最終沈殿池・チェーンフライト方式→レシプロ方式。

◆効果

 <1>建設費の軽減=43億円→34億7000万円(8億3000万円の縮減。池数の減に伴う設置機器の減小や躯体工の簡素化)。

 <2>維持管理費の低減=940万円/年→280万円/年(660万円/年の縮減、維持管理の容易性)。

【県有建物の修繕周期の最適化によるコスト縮減】

◆概要

 修繕周期の最適化を図ることにより、予防修繕・計画修繕が可能となり、修繕費用のコスト縮減を実現。

◆効果

 修繕周期の最適化を図ることにより、予防修繕・標準周期が見直され、修繕費用のコスト縮減を実現。

【建設副産物等の率先利用(茨城県リサイクル建設資材評価認定制度)】

◆概要

 従来は天然資源原料製品の使用→副産物原料製品の使用。

◆効果

 <1>循環型社会形成の推進(持続的発展が可能な社会の構築が図れる)。

 <2>環境保全効果の向上(天然資源採取の最小化、最終処分場の延命が図れる)。

 <3>その他(認定製品を一般公表することにより民間工事等での利用促進が期待できる)。

◆「リサイクル建設資材評価認定制度」は、再生資源を含有したリサイクル建設資材の性能規定化、公共工事で率先利用するためのルールを制定(コストによる区分等)。認定資材を一般に公表(民間工事等での利用促進が期待できる)。

<つづく>



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