15日に開かれた県都市計画審議会で、延長約11.6㎞の伊駒アルプスロード線を駒ヶ根および伊那都市計画道路に追加する都市計画道路の変更案が承認された。国土交通大臣本協議を経て2月下旬に都市計画決定のはこび。全体事業費は497億円で、工事着手から完了までの期間はおおむね10年間を想定。2年間の工事準備期間を経て、3年目から土工、4年目から橋梁・高架工事に入る。大型構造物として太田切川渡河部で470mの橋梁、天竜川渡河部で238mの橋梁、三峰川渡河部で390mの橋梁、宮田村中越区で260mのトンネル(開削ボックス)が計画されている。
同線は国道153号バイパスとして整備中の都市計画道路伊南バイパス線と伊那バイパス線を結ぶ延長約11.6㎞の主要幹線街路。事業主体は県。伊那谷を縦貫する道路として、国道153号や中央自動車道の補完・代替道路の機能に加え、2027年に開業するリニア中央新幹線の整備効果を広く波及させる役割も担う。
道路区分は第3種第2級、設計速度は60㎞/時間、車線数は4車線で幅員28m。計画交通量(30年度)は日最大2万3600台を見込む。
起点は駒ヶ根市赤穂(伊南バイパス終点)、終点は伊那市美篶(伊那バイパス起点)。市村別の延長内訳は駒ヶ根市区間が約610m、宮田村区間が約3790m、伊那市区間が約7170m。ルート選定に当たっては既存市街地への影響や土地利用を考慮し、地形改変を減らすことにより生活・自然環境への影響を低減している。
道路構造種類別の内訳は盛土区間が約9.4㎞を占め、ほかに橋梁・高架部が約1.4㎞、直壁部が約0.4㎞、切土部が約0.2㎞、トンネル部が約0.2㎞。最大10mの浸水想定区域を通過する箇所では、道路高を想定される水深より高く設定し、コンクリート構造物で路体の浸食を防ぐ構造とする。直壁部のかさ上げ高は6~10m、盛土部のかさ上げ高は最大8m程度。
幅員は盛土部、切土部、直壁部が28m(車道8.5m、両側歩道3m)、橋梁・高架部が24.5m(車道7.75m、両側歩道3.5m)、トンネル部が24.5m(車道7.75m、両側歩道3m)。一般部の路肩と歩道の間には1.5mの植樹帯を設ける。
伊南バイパス、伊那バイパスとも現在整備が進められており、中抜け区間である同線を都市計画に位置付け整備することにより、道路ネットワーク全体の交通機能が向上し、渋滞緩和や安全性の向上、商工業・観光の振興、高次医療施設へのアクセス向上などさまざまな効果が見込まれている。
環境影響評価準備書に記載された道路構造別の位置および延長は次のとおり(橋梁名は仮称。50m未満の橋梁・高架部は区分分けしていない)。
【盛土部(約9.4㎞)】
◆駒ヶ根市北の原~赤穂=約0.3㎞
◆宮田村大久保区=約1.8㎞
◆宮田村中越区(小田切川橋L33mを含む)=約0.3㎞
◆宮田村中越区=約0.3㎞
◆宮田村中越区~伊那市西春近=約1.3㎞
◆伊那市東春近(大沢川11号橋を含む)=約1.2㎞
◆伊那市東春近~富県(大沢川3号橋L30mを含む)=約1.3㎞
◆伊那市東春近=約2.8㎞
◆伊那市美篶=約0.1㎞
【切土部】
◆宮田村つつじが丘区~中越区=約0.2㎞
【直壁部】
◆宮田村大田切区~大久保区=約0.4㎞
【トンネル部】
◆宮田村中越区=260m
【橋梁・高架部(約1.4㎞)】
◆駒ヶ根市赤穂~宮田村大田切区(新太田切川橋)=470m
◆宮田村中越区(堂沢川橋)=149m
◆伊那市西春近~東春近(天竜川橋梁)=238m
◆伊那市東春近(大沢川2号橋)=80m
◆伊那市富県~東春近(大沢川4号橋)=70m
◆伊那市東春近~美篶(三峰川高架橋)=390m