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埼玉県

コンサルに低入札導入/工事の最低制限見直しへ

2005/06/27 埼玉建設新聞

 県は公共工事などの入札制度において、工事の内容に関係なく一律に最低制限価格を設定している現行制度から工事規模や工種に応じて最低制限価格を設定することを検討する。また、コンサルタントの委託業務についての発注に関しても、低入札価格調査制度を検討することを明らかにした。コンサルタント業務への低入札調査制度の検討は複数の県幹部の証言をたどるといずれは導入を目指しての検討へ着手することになりそうだ。

 これらの検討は、24日の県議会一般質問において奥ノ木信夫議員(川口市、自民党所属)が「公共事業の入札契約制度に係るダンピング受注防止対策」について質したのに対し、坂口護総務部長が答弁し明らかとなったもの。

 奥ノ木議員は県がダンピング防止策の一環で、県発注工事における5000万円未満の工事を一律に最低制限価格として設定していることに疑問を持ち、例えば土木、建築、設備工事などのように工事種別およびその工事の規模、特性などを重視し一律に金額で最低制限価格を設定すべきではないといった趣旨の質問を行った。

 それに対して、規模や工種を吟味しての最低制限価格の設定などを検討するとしている。

 さらに、もっと注目すべき質問で、コンサルタント委託業務の発注について調査基準価格制度や最低制限価格の設定について県の考えを問うた。

 坂口総務部長は「低入札調査基準価格や最低制限価格などの導入を検討します」と答えた。

 コンサルタント業務の低入札をめぐるこの1、2年の動きでは、山口県岩国市が16年度に発注したコンサルタント業務において、都内目黒区にある大手コンサルタントが非常に低い金額で2件続けて落札した。その後公正取引委員会が公正な入札を妨害したとして低廉売落札の勧告を出し、市に対してもコンサルタント業務の入札においてこのような事態にならないような仕組みの措置を取るよう要望していた。

 国土交通省では16年9月からすでに導入し、低入落札の調査マニュアルも16年11月29日付け国関整契581号、国関整技管132号、国関整計210号、国関整ー用157号(本省関係4課長通知)をもって「建設コンサルタント業務等における低価格による受注に関する調査について」の運用を通知し導入している。

 一方、農林水産省でも17年3月10付けで本省整備部設計課長名で「関東農政局整備部長宛て」に運用を通知し、今年度から低入札調査制度を開始した。また、山形県など一部の県においても同様の動きが起きている。

 県のコンサルタント業務の入札状況は、70%未満の落札率案件を見ると14年度が39件だったことに対し、16年度は74件に増加している。

 坂口部長の答弁の中で、検討するの意味の濃淡がここでクローズアップされる。本紙取材に対して県の複数の幹部は最低制限価格の設定はともかく、コンサルタント業務においても低入札調査価格の設定については「議会答弁どおり真剣に検討し、いずれは導入することになるのでは」と見通している。したがって今後の検討のあり方、導入の時期などその動きからは目が離せない。



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