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裾花・奥裾花ダム再生は710億円/20年度大型事業 5カ所で新規着手予定

2019/08/09 長野建設新聞

 県は2020年度、総事業費10億円を超える大型事業への着手を5カ所で予定している。事業費が最も大きいのは長野市裾花・奥裾花ダムの再生事業。710億円を投じ、土砂流入を抑制する土砂バイパストンネルの建設やダムのかさ上げなどを行う。これ以外の4カ所は全て道路系事業で、伊那インター線道路改築(伊那市)は事業費46億円、諏訪辰野線道路改築(岡谷市~諏訪市)は25億円、国道403号道路改築(飯山市~木島平村)は21億円、若宮線街路事業(千曲市)は13億円を見込む。

 5カ所は7日開かれた県公共事業評価監視委員会の本年度初会合に新規評価箇所として諮られた。同委での審議結果などを踏まえ、20年度の着手を目指していく。


■裾花・奥裾花ダム再生事業(長野市)

 裾花・奥裾花ダム再生事業は2062年度までの43年間で実施する計画。裾花ダムは建設から40年、奥裾花ダムは50年が経過したところだが、上流域の荒廃が著しく、両ダムとも100年で満砂となる計画堆砂量をすでに超過(裾花ダム107%、奥裾花ダム141%)。奥裾花ダムに至っては治水容量へも影響が及んでおり、ダム管理上支障を来している。このため土砂流入対策として洪水時に土砂を含んだ水を別に流す土砂バイパストンネルを整備し、ダムへの土砂の流入を抑制するとともに、ダムのかさ上げなどによる治水容量の確保対策も行う。

 事業期間の前半42年度までは土砂バイパストンネルの整備期間に充てる。トンネルは高さ、幅とも4m(R2000)を想定。延長は裾花ダムが5.2㎞、奥裾花ダムが3.8㎞を見込む。事業費は340億円。43年度以降は治水容量の確保対策を実施する。事業費は370億円。


■伊那インター線道路改築事業(伊那市)

 伊那インター線道路改築事業(伊那市中央~上の原)は事業期間が2029年度までの10年間、事業費は46億円。現在、国道153号~伊那辰野(停)線の区間を街路事業(環状北線・伊那市山寺~中央)で整備しており、これに連続する形で伊那辰野(停)線~国道153号伊那バイパスの区間を本事業で整備する。事業概要は道路築造工1090m×W7(13)m。標準横断面の構成は車道3.5m×2車線、歩道2.5m×両側、路肩0.5m×2。


■諏訪辰野線道路改築事業(岡谷市~諏訪市)

 諏訪辰野線道路改築事業(岡谷市~諏訪市・小坂~有賀)は事業期間が23年度までの4年間、事業費は25億円。同線は諏訪地域と伊那地域を結ぶ主要な道路だが、幅員狭小、線形不良といった未改良区間が残っており、解消策としてバイパスを計画している。一方、諏訪、岡谷両市が諏訪湖サービスエリアにスマートインターチェンジ(SIC)を設置する計画(23年供用予定)を進めており、バイパスがSICのアクセス道路にもなることから、バイパス全体計画2400mのうちSICの1次アクセスとなり得る区間1400mについて先行して整備する。事業概要は道路築造工1400m×W6(7.5~12.5)m。標準横断面の構成は車道3m×2車線、歩道2.5m×両側、路肩0.75m×2。


■国道403号道路改築事業(飯山市~木島平村)

 国道403号道路改築事業(飯山市~木島平村下木島)は事業期間が28年度までの9年間、事業費は21億円。対象区間は幅員が狭く、変則五差路の危険な交差点もあることから、現道を拡幅し安全な通行を確保する。事業概要は道路拡幅工L1380m×W6.5(15)m。標準横断面の構成は車道3.25m×2車線、歩道3.5m×両側、路肩0.75m×2。


■若宮線街路事業(千曲市)

 若宮線(長野上田線)街路事業(千曲市若宮)は事業期間が27年度までの8年間、事業費は13億円。事業概要は道路改築工L800m×W6(16)m。標準横断面の構成は車道3m×2車線、歩道2m×両側、自転車通行帯1.5m×両側、植樹帯1.5m×両側。なお、事業区間と連続する長野市側の延長400mの道路改築工は、道路事業として18年度に着手している。

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 県公共事業評価監視委は今後、12月までに5回程度開催し各事業を審議。20年1月に県へ意見具申する。県はこれを踏まえ同月中に対応方針を決定する。

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