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(一財)建設物価調査会

2005年10月・主要建設資材価格動向(東京)

2005/09/28 群馬建設新聞

【総括】

今月の調査結果を見ると、主要建設資材10品目のうち、前月比で上伸したのは2資材、変わらずが8資材で下落した資材はなかった。原材料高騰に伴う資材の値上げ交渉は、長引く需要低迷の前に概して一部転嫁、又は未転嫁に留まっている。一方、秋季需要期を控え、主要10資材のなかにも災害関連需要増を背景にしたセメントの品薄状況をはじめ、塩ビ管、再生砕石、鉄鋼製品等に先行き需要に好転の兆しも見られる。今後、値上げの機会を覗っていた資材も加わり、交渉をめぐる需給双方の攻防が活発化するものとみられるが、需給がどの程度引締まってくるか、原材料の動向ともども注目される。H形鋼は、前月比変わらず。弱基調の展開が続いていた製品市況は、新規引き合いと市中荷動きに回復の兆しが見え始めたことや、原料である鉄くず市況の反発等を要因に底値感が台頭している。カラー亜鉛鉄板は、前月比変わらず。官・民とも需要が伸びず、依然として市中の荷動きは鈍い。一方、素材は建材向け供給が依然として絞られていることもあって、製品の需給バランスは均衡している。セメントは、前月比変わらず。セメントメーカーは年度当初から値上げ交渉を続けてきたが、北陸、四国、九州での災害関連需要増加に伴う品不足が深刻化する状況下、安定供給を最優先にしている。レディーミクストコンクリートは、前月比変わらず。生コンメーカーは、セメントの品薄商状から一部品種の受注を抑制している。販売筋では、生コンの安定供給を最優先とし、継続している値上げ交渉は供給不安の解消後としている。再生砕石は、前月比変わらず。引き続き湾岸部再開発地区向け需要は好調で、当面堅調に推移する見通し。この状況下、再生材メーカーは運賃コストの上昇を製品価格に転嫁すべく売り腰を強めている。木材のうち、杉正角は前月比変わらず。盆明け以降、官・民ともに工事物件が少なく、需要は伸び悩みが続いている。しかし、流通各社は在庫調整を実施しているため、需給に緩みはみられない。コンクリート型枠用合板は、前月比変わらず。7月の輸入合板入荷量は、業界の目安とされる40万立方mを大きく下回ったが、盆明け以降も依然として荷動きがさえないため、需給にタイト感はみられない。電線は、前月比続伸。需要は民間マンション工事向けを中心に好調に推移している。高水準の電気銅建値を背景に、メーカー、流通筋の販売姿勢は依然として強い。目先、高値にあった銅価格に頭打ちの気配がでてきている。塩ビ管は、前月比変わらず。荷動きに盛り上がりはみられない。メーカー各社は塩ビ樹脂の高騰を理由に、10月からの値上げを打ち出した。需要家の抵抗が予想されるものの、最需要期を迎え強含み推移の公算が大きい。燃料油は、9月の元売り仕切り価格がリットル当たり2.0~2・3円引き上げられたため、特約店筋の売り腰が強まり、中間三品(ローリー)の灯油、軽油、A重油は、いずれもリットル当たり2円の上伸。また、レギュラーガソリン(スタンド)も前月比3円の上伸となった。【H形鋼】~市況に底値感台頭~

200×100でトン当たり76、000円と前月比変わらず。製品市況は弱基調の展開が続いていたが、新規引き合いと市中荷動きに回復の兆しが見え始めたことや鉄くず市況の反発等を要因に、市況は底値感が台頭している。今後もメーカーの供給姿勢は抑制基調が続き、市中在庫の減少ピッチは早まるとの見方が強い。このため、需給は徐々に引き締まるとの期待から、流通筋は売り腰を強めている。しかし、需要家の購入姿勢に緩む気配は見られず、先行き、市況は強基調ながら横ばい推移の公算が大きい。

【カラー亜鉛鉄板】~先行き、市況は横ばい~

平板の0・35×914×1、829mm屋根用で枚当たり928円と前月比変わらず。官民とも需要が伸びず、依然として市中の荷動きは鈍い状況が続いている。扱い筋では災害復旧工事やアスベスト問題によるリフォーム需要に期待を寄せる声も聞かれるが、実需回復の材料として具体化されるまでには時間を要しそう。一方、素材の供給は、好調な自動車業界へ優先される傾向が続いており、建材向け供給量は絞られている。このため、需給バランスは均衡しており、先行き、市況は横ばいで推移する公算が大きい。

【セメント】~市況は横ばい推移~

4~7月の国内販売量は約1、887万t(セメント協会調べ)と前年同期比4%増加。特に北陸、四国、九州での災害関連需要増が顕著となっている。こうした影響から、東京地区のセメント需給はタイト化しており、特に中庸熱セメントの品不足が深刻である。価格は普通ポルト(バラ)でトン当たり8、600円と前月比変わらず。セメントメーカーは年度当初から値上げ交渉を続けてきたが、品不足が深刻化する状況下、安定供給の確保を最優先している。目先、市況は横ばいの公算が大きい。

【レディーミクストコンクリート】~市況に動意なし~

7月の出荷量は約40万8千立方m(東京地区生コンクリート協組調べ)と前年同月比21・8%減少。価格は18-18-20で立方m当たり11、200円と前月比変わらず。現在、中庸熱セメントの品不足から、同協組では同セメント使用生コンの引合い及び契約を停止している。普通ポルトランドセメントも、北陸地区等の災害関連需要に引っ張られ需給が非常にタイトな状況。販売筋では、生コンの安定供給を最優先とし、継続中の値上げ交渉は供給不安が解消されてからとしている。目先、市況は動意なく、横ばい推移する公算が大きい。

【再生砕石】~先行き、横ばい推移~

再生クラッシャラン40~0mmで立方m当たり1、500円と前月比変わらず。引き続き湾岸部再開発地区向け需要は好調で、当面堅調に推移する見通し。一方、今後予定されている大型プロジェクト物件向け出荷が始まると再生材メーカーの在庫は、ひっ迫する恐れがあるとの見方が出ている。これを機に、再生材メーカーは、燃料の高騰に伴う運賃コストの上昇を製品価格に転嫁すべく売り腰を強めている。しかし、受注競争が激しい環境下、需要家の購入姿勢は厳しく、先行き、強基調ながら横ばい推移するものとみられる。

【木材】~先行き、市況は横ばい推移~

杉正角(特1等3m×10・5×10・5cm)で立方m当たり39、000円と前月比変わらず。盆明け以降、官・民需ともに目ぼしい物件が乏しく、需要は伸び悩みが続いている。しかし、流通各社は在庫調整を実施しているため、需給に緩みはみられない。一方、盆休みや悪天候などの影響から、産地原木丸太の出材量は減少傾向にあり、原木価格はジリ高傾向にある。このため、今後は製材品のタイト感が強まると予想されるが、長引く需要の減退からユーザーの購入姿勢は依然厳しく、先行き、市況は横ばいで推移する公算が大きい。

【コンクリート型枠用合板】~価格は変わらず~

南洋材産出国で丸太不足が深刻化していることから、7月の輸入合板入荷量は約36万立方mと、業界の目安とされる40万立方mを大きく下回った。しかし、盆明け以降も依然として荷動きがさえないため、需給にタイト感はみられない。価格は12×900×1、800mmラワン輸入品で枚当たり840円と前月比変わらず。今後も、輸入合板の入荷量は低水準で推移するとみられるが、需要の大幅な回復は見込み薄の状況にあることから、需給は均衡状態が続く見通し。このため、市況は横ばい推移の公算が大きい。

【電線】~価格は続伸~

IV1・6mm単線でm当たり13・9円と前月比0・3円続伸。需要は民間マンション工事向けを中心に好調に推移している。電線価格の指標となる国内電気銅建値は9月上旬現在、トン当たり48万円と前月同様高値を維持している。こうした状況下、メーカー、流通筋の強気の販売姿勢に変化は見られず、価格は前月に続き上伸となった。目先、高騰を続けていた銅価格も頭打ちの気配がみえ始めており、加えて販売価格への転嫁も順調に進んだことから、市況は横ばいで推移する公算が大きい。

【塩ビ管】~先行き、市況は強含み~

荷動きに盛り上がりはみられず、価格はVP100A4mで本当たり3290円と前月比変わらず。こうしたなか、塩ビ管メーカー各社は、原料となる塩ビ樹脂価格の上伸を理由に、流通業者への仕切り価格引き上げを10月出荷分から実施すると発表した。昨年3月と10月の値上げに続き3回目の値上げとなることから、需要家の抵抗が予想される。しかし、これから最需要期を迎えるため在庫が品薄に転じるとの見方もあり、先行き、市況は強含みで推移する公算が大きい。

【燃料油】~続伸し、なお強含み~

8月の海外原油平均価格(ドバイ)は、バーレル当たり56・6ドルと前月比3・8ドルの上伸。国内大手元売りは、9月の仕切り価格をリットル当たり2.0~2・3円引き上げると発表した。3か月連続となる仕切り価格引き上げを受け、特約店筋の売り腰が強まり、中間三品価格はローリー渡しで灯油、軽油、A重油とも前月比リットル当たり2円の上伸。また、レギュラーガソリンもスタンド渡しで120円と前月比3円の上伸。先行き、特約店筋は未転嫁分の値上げ交渉を継続するとみられ、市況は強含みで推移しよう。



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