県こども政策課は、子ども総合科学館(宇都宮市西川田町)の改修の基本的な考え方をまとめた。改修の基本コンセプトに「満足感」や「とちぎらしさ」「利用者目線」「持続可能性」を設定し、老朽化した展示物・設備の更新と併せて建物の長寿命化や特定天井、照明設備などの改修を予定。今後は企業・大学連携可能性調査や改修内容の詳細な検討を実施。2022年3月に基本設計を作成する。22年度は実施設計を進め、23年度に工事に着手。24年度以降のリニューアルオープンを目指している。
建物の長寿命化や特定天井、省エネ設備(照明LED化)の改修を除く基本設計は乃村工藝社(東京都港区)が担当。陳腐化、老朽化した展示物やプラネタリウムを改修する。
また屋内はバリアフリートイレ、授乳室の新設、発券機更新によるキャッシュレス化など利便性を高める設備の更新を検討。屋外は広大で自然豊かな敷地を生かした体験活動を促進する。
子ども総合科学館は子どもたちが科学的な知識や体験を楽しみながら学習し、活動できる場として1988年に開館。年間約55万人、20年度末までに延べ1606万人が訪れた。33年が経過して一部の展示物や設備は陳腐化し、老朽化に伴う不具合が発生。修繕部品の調達が困難なため利用できなくなっている。
今後も科学館の役割を果たすため、最新の科学技術が反映され、好奇心をかき立てる魅力ある施設、ものづくり県として県内企業や大学等研究機関などの技術に触れられる施設とし、維持管理を含む費用抑制にも配慮した施設とする。
コンセプトの「満足感」では体験性、新技術を活用した多彩な展示・活動、利用者ニーズの反映、「とちぎらしさ」ではとちぎの自然科学に関わる展示・活動、企業や大学との連携、「利用者目線」では多様な利用者を想定したユニバーサルデザイン、「持続可能性」では照明LED化(一部導入済み)をはじめ、環境に配慮した施設を目指す。
施設概要は敷地面積16万7585平方m。建物は88年5月に建設されたSRC造2階建て、建築面積6258・44平方m、延べ床面積1万44平方m。屋上に天文台を備えている。利用料金は展示場が大人550円、中学生以下220円、プラネタリウムが大人220円、中学生以下110円。
今後の検討課題にはユニバーサルデザインや利用料金を含む管理面の見直し、工程、工事費などを挙げており、12月下旬からのパブリックコメントや各種調査結果などを踏まえ、改修内容を検討していく。
現在の科学館の展示物は235点。経過年数は20年以上が169点(71・9%)、10年以上20年未満が51点(21・7%)、10年未満が15点(6・4%)。このうち140点(59・6%)は継続利用が困難となっている。