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日光市、新水道ビジョン案、各年度投資に約9億円、瀬尾、鬼怒川浄水場を更新

2021/12/21 栃木建設新聞

 日光市は、新水道ビジョン原案をまとめた。計画期間は2022~31年度。施設耐震化や老朽化施設の更新、危機管理体制強化など12の基本施策を掲げ、成果指標に基幹管路の耐震管率15%(20年度末2・8%)、鬼怒川浄水場と湯西川浄水場の緊急遮断弁整備完了を掲げた。瀬尾浄水場は中央監視設備、膜ろ過設備、鬼怒川浄水場は構造物や設備を更新。佐下部浄水場は瀬尾浄水場に統合し、瀬尾浄水場の浄水処理能力を増強する。更新の各年度投資額は構造物・設備が5億~5億7000万円、管路が3億7000万~3億9000万円とした。

 浄水場は瀬尾浄水場で22~23年度に監視装置、23~27年度と31年度に監視装置以外の施設を更新。鬼怒川浄水場は主に24~31年度に構造物や設備を更新。28~30年度は全費用を投入する計画。

 老朽管の更新は各年度4億円を上限にスケジュールを設定。φ300以上の基幹管路や防災・医療機関といった重要給水施設、緊急輸送道路に位置する管路の中で状態が悪いものを「優先度1」に位置付け、29年度までは「優先度1」の管路を更新していく。

 配水区域の見直しと施設の統廃合は、新たな計画として今市地域の老朽化した佐下部浄水場を廃止し、瀬尾浄水場に統合。瀬尾浄水場の施設能力を日量3万立方mと約4000立方m増強する。統廃合に関係する老朽管更新も進める。

 日光地域の小倉山配水池、二荒浄水場・丸山浄水場の施設の統廃合は引き続き推進。足尾中央部・足尾北部・足尾東部浄水場の統合は計画を変更。足尾北部の利用を継続し、足尾中央部と足尾東部を統合する計画に見直した。

 遠方監視装置は若間浄水場に設置し、全施設の遠方監視体制の整備を完了させる。有収率は管路更新のほか漏水調査やメーターの定期的な更新などで有収率82%(20年度81・4%)を目指す。

 危機管理体制の強化では湯元浄水場、小網浄水場を応急給水拠点に追加。鬼怒川浄水場、湯西川浄水場に緊急遮断弁と災害用給水栓を整備する。

 水質監視体制の強化では、水安全計画の策定を検討する。小規模貯水槽設置者は今市、日光、足尾、栗山地域を把握しており、今後は藤原地域を把握。全地域の安全指導率100%(20年度54・2%)を目指す。

 広域化・共同化については、県央地域広域圏として3市5町(宇都宮市、日光市、真岡市、上三川町、芳賀中部上水道企業団、高根沢町)の枠組みの中で検討を行っており、施設の共同化や管理の一体化など多様な連携方策を検討していく。

 地球温暖化対策は施設整備時に省エネルギー・高効率設備を導入。水道工事に伴う土砂やアスファルトなどの建設副産物、浄水処理の過程で発生する浄水発生土などの循環利用を検討。太陽光発電設備の導入のほか、小水力発電設備の導入を検討していく。

 資本的支出の計画は22年度が15億7000万円、23年度が15億5000万円、24年度が15億円、25年度が15億円、26年度が14億9000万円、27年度が14億7000万円、28年度が14億6000万円、29年度が14億2000万円、30年度が14億3000万円、31年度が13億3000万円。

 市の水道は1942年に供用を開始。20年度の計画給水人口8万2500人、現在給水人口7万7687人、年間総配水量1380万4000立方m。主な施設数は浄水場30カ所、配水池64カ所、施設能力日量10万3403立方m、管路延長114万5462m。給水普及率は97・4%。

 案は22年2月にパブリックコメントを行い、決定する予定。

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