国土交通省常陸河川国道事務所は、那珂川緊急治水プロジェクトで計画する築堤や河道掘削の工事に本格的に着手する。年度内には中大野地区築堤工事など11件を発注。2022年4~6月には中流部の河道掘削と野口下流地区、下伊勢畑上流地区の築堤を発注する。小場江・野口排水樋管の整備も今後それぞれ施工する見込み。24年度の事業完了を目指し、用地取得箇所から順次発注していく。掘削や盛り土ではICTの活用も積極的に推進する方針。
同プロジェクトでは2019年台風第19号と同規模の洪水が生じても、災害の発生を防止するために河道掘削や堤防整備、遊水地の整備を進めている。堤防は下流部のひたちなか市栄町地区、同勝田地区、水戸市大野地区、同吉沼地区、城里町下圷地区と、中流部の常陸大宮市野口地区、同下伊勢畑地区において整備する。
河道掘削では、通常はグラウンドなどとして利用している高水敷の樹木を伐採・伐根し、掘削する。対象は下流区間(水戸市、ひたちなか市)の全体延長約10㎞。河道掘削量は全体で約260万立方mを見込んでいるという。内訳は若宮地区、水府・枝川地区、根本地区、中河内地区、渡里地区、下国井地区。
大場遊水地については左岸側130ha(常陸大宮市、城里町)に囲繞堤、周囲堤、排水門、越流堤、初期湛水池を設ける。洪水調節容量として約580万立方mを想定。囲繞堤、周囲堤、排水門、越流堤防については八千代エンジニヤリング㈱(台東区)が詳細設計を担当している。10月に囲繞堤の整備工事、土砂混合工事、大桂大橋からの進入路設置工事に着手した。
【写真=渡里地区では河道掘削を施工中(11月)】