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山梨県笛吹市

浄水場等12箇所を/笛吹川かんがい余剰水水道水活用/12市町村5年以内

2005/11/11 山梨建設新聞

 笛吹川畑地かんがい事業の完了に伴い年900万tの余剰水の水道水への活用についての確認書の取り交わしが全国初のケースとして完了したことを受けて、配分を受ける各市町村では、浄水場等の建設を合わせて12箇所で計画、将来を見越した水量や水質の確保を図っていく予定だ。同施設を建設するのは合併前の市町村名で、予備のある塩山市を除く12市町村。概ね5年以内に整備を実施していくことになっており、年間約9億6000万円の水利権で来年度からの取水が可能となる。

 市町村別の取水日量は、塩山市2630t、山梨市3530t、石和町3680t、御坂町2630t、豊富村2600t、勝沼町(1)1700t、同(2)1000t、春日居町1310t、一宮町1780t、八代町1310t、境川村(1)900t、同(2)850t、三珠町740tの内訳。これら市町村では、各取水量に応じた浄水場を整備するとともに、水利権料を来年度から支払うことになっている。このうち、塩山市では従来から同水源からの取水を行っているほか、予備の浄水場があることから新たな整備は行わない。

 合併後の市町村別の年間負担額は概算で、甲州市2億457万2000円、山梨市1億3830万2000円、笛吹市4億8598万円、豊富村1億84万6000円、市川三郷町3073万4000円。

 笛吹川畑地かんがい事業は平成14年度に完了。しかし、同かんがい面積の縮小に伴う余剰水が年間900万t発生することになった。同地域では、水源の枯渇や水質の悪化などが進んでおり、広瀬ダムを水源とする良質で安定した水量を持つ同余剰水について、関係市町村ではかねてより水道用水に有効活用することを強く希望していた。

 このため、農水省では今回の同転用のための「水資源活用地域共生事業」を創設し全国で初導入、関東農政局や、関係13市町村(塩山市、山梨市、春日居町、牧丘町、勝沼町、石和町、御坂町、一宮町、八代町、境川村、中道町、豊富村、三珠町=合併前の町村名を含む)、県、笛吹川沿岸土地改良区からなる、笛吹川地区水利用有効活用協議会を設置し、課題解決に向け取り組んできた。

 同省では、農業用余剰水を水道水へ転用するのは、全国初のケースで、同事業を全国規模で広げていくことにしており、本県での事業成立が各方面に与える影響は少なくない。



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