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栃木県宇都宮土木事務所

宇都宮土木、姿川改修 13橋と堰3基を改善、調節池23年度概成へ

2022/01/18 日本工業経済新聞(栃木版)

 県は宇都宮市大谷町~新里町の1級河川姿川3・8㎞の改修で、国道293号入会橋から下流2・3㎞の河道を拡幅するため、13橋の改善と床固工に併設する堰3基の改築を計画。豆田川との合流部に整備する調節池は、2023年度の概成を目指し工事に着手した。面積は2万8000平方m、容量6万9000立方mで洪水調節量が毎秒20立方m。県宇都宮土木事務所によると、沿川は公図が混乱しており、用地を取得するため地籍調査の必要性を市に要望。地籍調査や用地の進ちょくを勘案し橋梁や堰の設計を実施していく見通しを示した。

 河川計画は10年に1度の洪水を安定的に下流に流すため、河床幅8・8m、高水幅11・2m、高水位2・4mの計画河川断面を確保した改修を行う。このため毎秒100立方mの必要量を試算しており、調節池で20立方mをカットし計画高水流量は毎秒80mとした。計画河床勾配は1/200。事業は大規模特定河川事業で、全体事業費には27億円を試算した。

 改修区間3・8㎞には、県道宇都宮今市線大谷橋から市道569号線桜田橋まで16橋が架設。橋名と管理者は下流から大谷橋(県)、人道橋(調査中)、岩下橋(市)、無名橋(個人)、無名橋(個人)、山本橋(市)、無名橋(調査中)、大杉橋(市)、観音橋(市)、乙女橋(市)、無名橋(調査中)、紅葉橋(市)越路橋(市)、入会橋(県)、萩の橋(市)、桜田橋(市)。

 このうち大谷橋は宇都宮今市線整備に併せ架け替えを実施中で、観音橋は市が周辺整備と併せて架け替えを計画している。このほかの11橋については統廃合を含め市や地元と調整し、架け替えを実施していく見通し。また、入会橋から上流の3橋は河川断面が確保されており、流下能力を高めるため堆積土除去で対応するとした。

 床固工に併設の堰は4基あり、このうち入会橋を境に下流が3基、上流は1基で、河道拡幅を行う下流の3基を改築する予定。

 姿川は1951年から河川改修事業に着手し、思川合流点から主要地方道宇都宮今市線大谷橋まで整備を進めてきた。大谷橋から上流は未改修区間で、計画に対し流下能力が不足していることから、平成27年9月関東・東北豪雨で浸水面積0・7ha、床上浸水29戸、床下浸水26戸の被害が発生。令和元年東日本台風では、浸水面積15ha、床上浸水72戸、床下浸水37戸が発生した。

 県はこれらの豪雨に対応し、毎秒100立方mの流量を確保するため、16年度に治水対策検討業務をクレアリアに委託。本川の改修と調節池の整備を計画した。18年度に調節池の予備設計をパシフィックコンサルタンツ、19年度には詳細設計を開発虎ノ門コンサルタントで進めてきた。

 事業化に向けた対応では、18年度思川圏域河川整備計画に調節池を位置づけるため、河川計画策定設計業務を三井共同建設コンサルタントに委託。20年度には河道拡幅が必要な大谷橋上流から豆田川合流点までの測量をニッコー(宇都宮市)、自然環境調査をニュージェック、地下水調査業務をフジタ地質(小山市)が担当したほか、21年度から事業に着手するため、思川圏域河川整備計画を再度変更。パシフィックコンサルタンツが河川整備計画作成業務を担当した。

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