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栃木県塩谷南那須農業振興事務所

塩谷南那須農振、23、24年度にゲート設備や護岸工、那珂川の堀抜用水堰改修へ

2022/01/19 日本工業経済新聞(栃木版)

 県塩谷南那須農業振興事務所は、那珂川に設置された堀抜用水堰(那須烏山市旭2丁目)で取水ゲートの改修を計画している。ゲート設備を更新し、位置を変更する。2022年度の事業化に向け国に採択申請した。22年度は実施設計や土質調査を行い、23年度から2カ年で工事を進める予定。総事業費は3億1200万円。測量設計に2400万円、ゲート設備に8300万円、土木工事に2億200万円を試算している。

 堀抜用水堰は主要地方道那須黒羽茂木線興野大橋の下流右岸に設置された鋼製スルースゲート2門の堰。1930年に造成され、受益面積は40ha。那珂川が東へ蛇行しはじめる場所にあり、取水上流部の導水路に流木や草、ごみなどが流れ込んで閉塞。流下物の撤去に多くの労力と費用が必要になっている。

 また、ゲート設備は老朽化による不具合の発生に加え、上部の開閉操作の位置が低く、河川の水位上昇時に水没。管理に危険を伴っている。18年度には河川を管理する国土交通省常陸河川国道事務所から、出水時に操作が確実に行える構造に改善するよう指示を受けた。

 県では19年度に調査に着手。関係機関と計画線形やスケジュールなどについて協議を行いながら事業計画の内容を詰めてきた。計画設計業務は八汐コンサルタントが担当した。

 事業は農業用河川工作物応急対策による実施を想定。ゲートを安全に操作できる構造に更新するとともに、流下物が取水口に堆積しない位置に変更。機能の確保と洪水による災害の未然防止を図る。

 計画では取水位置を前面に出し、流れが早い河川流心に直角に近い構造とすることで導水路への流下物の堆積や流入を防ぐ工事を実施する。

 取水樋管は鋼製ローラーゲート1門(幅2m×高さ1・8m、電動ラック式)と管渠工(幅2m×高さ1・8m×延長33・7m)、管理橋(幅1m×延長15・6m)で構成。ゲート上部の操作スペースの高さは約11m。管理橋は水天宮側に連絡。杭基礎の規格や本数は土質調査後に決定する。

 取水ゲートの両側には護岸工(張りブロック、延長134m、面積1013平方m)を築造。護岸工の下部には護床工(根固めブロック3㌧、194個、延長126m)と袋詰根固め工1㌧(64袋)を施工する計画。護岸工下流側の取り付け護岸工(410平方m)は、かごマットによる施工を予定している。

 また、ゲート位置の変更と護岸工の整備に併せ、付近の堤防に設置された排水樋管への取り付け水路を築造。築造するのは護岸工から既設の排水路まで延長32・5m(張りブロック、136平方m)を計画している。

 ゲートには監視カメラを設置。スマホで開閉を遠隔操作できるシステムを構築する考え。工事は23、24年度に予定。各年度の施工内容は22年度の実施設計で精査。施工時期の制約を踏まえた効率的な施工方法を立案していく。

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