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農林水産省新川流域農業水利事業所

ICT普及へ東部幹線排水路工事で見学会

2022/01/21 新潟建設新聞

 北陸農政局新川流域農業水利事業所は、北陸農政局管内で初めて情報化施工技術(ICT)を活用した東部幹線排水路その7、その8工事で、現地説明会を開いた。県農地部、新潟市農林水産部、西蒲原土地改良区など農業農村整備に関わる発注者や施工者などが参加。工事担当者やコマツカスタマーサポートから工事で活用するICT技術が解説されたほか、実際の現場を見学した。

 農林水産省の国営土地改良事業等におけるICT技術の導入状況は2017年度のガイドライン策定以降、20年度までに128件にとどまる。北陸農政局管内では、受注者独自の取り組みを除き、これまでに実績が無く両工事が初めて。

 新川流域農業水利事業所の瀨戸太郎所長は「ICT技術の活用により少人数での安全施工、経験に関わらず品質を確保できる。より良い農村整備に、それぞれの立場で、できるところから取り組んでいただきたい」と参加者に要請した。

 水倉組が施工するその7工事では、新潟バイパス下の施工延長243mの左右岸で、鋼矢板341枚の打設、水路、水田復旧工事を進めており、3次元起工測量から3次元設計データ作成、ICT建機の活用、出来形管理、納品と検査までフルセットでICT技術を活用。水中掘削や法面整形にICT技術を活用するほか、施工履歴データによる施工管理、AR(拡張現実)で現場イメージも作成している。

 その8工事として下流側の右岸182・9m、左岸213・75m、旧構造物撤去工、水路復旧工を担当する吉田建設では、3次元データの作成およびICT建機を活用し、河床掘削や施工履歴データによる出来形管理にICT技術を活用。昨年12月までに右岸側が完了し、現在、左岸側の施工を進めている。

 ICT技術の活用に伴い、その7工事では、当初契約額2億1428万円から1087万6000円、5・1%増。その8工事では1億7586万8000円から125万3000円、0・7%増額している。両工事の総額3億9014万8000円に対し、ICT活用に伴い1212万9000円、3・1%の増額となる。

 国土交通省での工事に比べ農業農村整備でICT活用工事の導入が遅れている要因として、工事規模や対象工種・技術が限定的などに加えて、工事費の増加が受益者負担の増加につながるなどの課題があり、ICT技術の普及には導入に対する理解と丁寧な説明が必要となる。

 なお新川流域二期地区土地改良事業として1・3㎞の矢板護岸改修が進められている東部幹線排水路は、全体事業費13億6500万円に対し、20年度末までに11億6492万1000円が執行済みで、事業費ベースでの進捗率は85・3%となる。

【写真=受発注者がICT施工を見学】

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