日光市は文化会館3施設の統合再編について、新たな文化会館を適地に建設する方向で検討を進める。2022年度に市民委員会を立ち上げ、文化会館のあり方を年度内に整理する。日光総合会館は22年度に解体事業に着手し、当初予算に設計費を計上する方針。今市文化会館は必要最低限の維持補修で施設を維持し、大規模に修繕が必要になった場合は休止か廃止を検討。藤原総合文化会館は跡地利活用の協議を継続する。
文化会館の3施設は建設から45年以上が経過。老朽化が著しいことに加え、日光総合会館、藤原総合文化会館は耐震工事が未実施で、利用率も低調。施設の維持費用が嵩んでいたため、日光総合会館は21年3月に廃止。藤原総合文化会館は20年4月に休止した。
市は公共施設マネジメント計画実行計画に3施設の再編をモデル事業に位置付け、機能集約化や他施設との複合化を検討。いずれも立地に恵まれ、民間活力を導入した跡地利用の検討を進めている。
新文化会館の建設は、庁内で今市文化会館の改修と建て替えコストを比較して選択。建て替え(500席想定)は、40年間のランニングコストを約74億円と試算。改修した場合でも20年後には築60年を経過して改築が必要となるため、40年間のランニングコストは約99億円と試算。改修は抜本的な解決にならないと判断した。
新文化会館の完成時期は、総合計画後期基本計画が終了する25年度を目標とするものの、市民の意見を聞いて決める。財源は公共施設の統合を前提とした公共施設最適化事業債の活用を想定している。
委員会は日光・藤原各会館検討専門部会、各地区自治会長、文化協会、青年会議所などの代表者15人程度。公募委員は5月に募集し、7月から協議を開始する考え。
日光総合会館は建物内の残置物処理を21年4月から実施しており、22年度は解体設計を行って工事費を算出する。サウンディング型市場調査を行った跡地利用については、公民連携事業を基本とした検討が新型コロナの影響で停滞しているため、暫定的に駐車場として整備することを検討する。
藤原総合文化会館の跡地利用は実施中の観光客へのアンケート調査を踏まえ、検討専門部会で引き続き協議していく。
各施設の概要は、今市文化会館(平ケ崎)が1976年度完成のSRC造地上4階地下1階建て延べ床3742平方m(席数1066席)。
日光総合会館は72年度完成のRC造地上2階地下1階建て延べ床5679平方m(868席)。藤原総合文化会館は73年度完成のRC造地上3階地下1階建て延べ床3158平方m(1222席)。