記事

事業者
国土交通省渡良瀬川河川事務所

渡良瀬川河川、新年度に設計、用地調査、旗川2.2㎞の改修着手

2022/03/01 栃木建設新聞

 1級河川旗川の直轄河川区間の改修事業が新年度にも始まりそうだ。国土交通省渡良瀬川河川事務所の塚本一三所長は本紙のインタビューに答え、計画流量700立方mに対応した整備を進めていくため、新年度予算に測量設計や用地調査費を要望していることを明かした。旗川の直轄河川区間は約2・2㎞。左岸側堤防は引き堤による整備が概成しており、河積を拡大するため河道掘削や右岸側の築堤などを進めていく見通し。(2面に塚本一三所長インタビュー)

 1級河川渡良瀬川支川の直轄河川区間の改修は下流側から順次進めており、旗川の着手は直下流の秋山川が今年度末に完了する見通しとなったため。旗川は佐野市と足利市境を流れ、2019年の東日本台風では県管理の約4㎞区間を中心に深刻な氾濫被害を出した。県は直轄区間に先行して20年度から調査に着手。今年度は用地補償を進め、一部工事にも着手を見込んでいる。

 国が17年度にまとめた利根川水系渡良瀬川河川整備計画によると、渡良瀬川合流部における旗川は毎秒700立方mの流量に対応した整備を進めていくとしており、現状では最も低い箇所で300立方mにとどまっている。

 整備手法は、左岸側が概成しており、現状の河川幅で河積を拡大。これまでは防災・減災対策3カ年プログラムにより堆積土除去や立竹木除去などの維持管理工事を実施。20年度からは3カ年プログラムを継承し、国土強靭化5か年加速化対策で河積を確保する維持管理工事を継続している。

 渡良瀬川河川整備計画では、堤防整備施行箇所として、佐野市村上町と佐野市高橋町~足利市奥戸町に至る右岸で流下能力の向上を実施。河道掘削では、左岸が佐野市高橋町~足利市寺岡町、右岸では足利市奥戸町~寺岡町で流下能力の向上を図る。

 堤防を強化する浸透対策では、左岸の佐野市高橋町~村上町と村上町~足利市寺岡町を位置づけた。堤防の浸食対策では、右岸側の佐野市村上町を挙げている。

 旗川の右岸には、下流から1級河川尾名川(足利市奥戸町)、出流川(佐野市村上町)が合流。合流部には両河川とも水門が設置され、東日本台風では水門周辺で内水被害が発生。付近の家屋や農地などに深刻な被害を出した。

 県は尾名川と出流川の暫定改修に着手。旗川から一般県道佐野太田線までの区間についてセミバック堤による整備を行い、東日本台風と同規模の水害に対応する。同事務所では県の整備と整合を図り、水門周辺の対策について22年度にも実施する測量設計で整備内容を検討する。

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら