国土交通省は17日、姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)が構造計算書を偽造していたと公表した。偽造の報告があった建築物は、マンション20件とホテル1件の、計21件。このうちマンション13件とホテルはすでに竣工している。事態を重くみた同省では17日午後より、建築物所有者への事実関係連絡を開始した。
姉歯建築設計事務所は、構造計算プログラムの「地震力」の数値を、通常値の概ね半分で入力した疑い。これにより、鉄筋の量や杭の強度が正常値より低い状態となっている。
同省の調査によると、強度が通常の3割程度しかなく、震度5強の地震で、「倒壊の恐れも含めた危険性がある」状態。
国土交通省の佐藤信秋事務次官は緊急会見を開き、「誠に遺憾。二度と起きないように指導を徹底していく。現行制度の運用を緊急総点検する。一番大事なことは居住者の安全確保。建物ごとに、建て替えや耐震補強の判断をきちんとしていく」と話している。
今回の偽造事件では、同事務所の元請け設計者と指定確認検査機関のチェックミスも波紋を呼びそうだ。