県道路保全課は２月補正予算に５９億４５００万円を追加し、このうち道路保全事業費には４８億６５００万円を配分した。目玉は予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策で、鬼怒川や那珂川、渡良瀬川などを渡河する長大橋のうち健全度２判定に位置づけた補修設計を予算化した。工事を含めた橋梁が７７、歩道橋９、アンダー２と３トンネルが対象。このほか舗装修繕が１７億１６８０万円、法面の落石対策など道路災害防除１４カ所で７億４７００万円などとなった。

　県が健全度２判定に位置づけた橋梁や歩道橋の補修対策に着手したのは今年度９月補正から。国が補助対象として拡充した。補修工事は断面修復や伸縮装置の更新、桁の再塗装、ひび割れ補修など。歩道橋は再塗装を主体に延命化を図る。

　具体的には、日光市の国道１１９号日光橋（橋長３８ｍ、大谷川）が、床版補修や橋面防水、伸縮装置の更新。１２０号安良沢橋（橋長４２ｍ、荒沢川）は、床版補修と橋面舗装、伸縮装置の更新を実施。

　足利市では主要地方道足利館林線福猿橋（橋長２９１・５ｍ、渡良瀬川）と一般県道佐野太田線川崎橋（橋長３８９ｍ、同）が塗装。福猿橋では橋面防水と沓座モルタル打ち替えも実施する。宇都宮市の１２３号鐺山松原歩道橋は塗装工事を行う。

　鬼怒川を渡河する橋梁で新規に設計費を予算化したのが真岡市の一般県道下野二宮線砂ケ原橋、宇都宮市が主要地方道宇都宮向田線柳田大橋、１２３号新鬼怒橋、一般県道氏家宇都宮線阿久津大橋。上三川町の主要地方道真岡上三川線鬼怒大橋、さくら市の２９３号氏家大橋、塩谷町の４６１号大渡橋。

　砂ケ原橋は橋長７６３・４ｍで、１９８３年に架設された。左右岸が単純鈑桁と中央の流水部は３径間連続鈑桁４連の１４径間で構成。柳田大橋は上下線の分離橋で上流が７１年、下流は８８年に架設。橋長は７４１・５ｍで、下流が単純鋼箱桁１４連、上流は左右岸が鋼３径間連続箱桁２連と中央部は鋼２径間連続箱桁の１４径間。

　新鬼怒橋も上下線の１０径間の分離橋で、橋長が５８４・３ｍ。上流が７２年架設の左右岸が鋼２径間連続鈑桁と中央部は鋼３径間連続鈑桁の４タイプで構成。下流は左右岸が鋼３径間連続鈑桁、中央部は鋼４径間連続鈑桁の３タイプで構成、９１年に架設された。氏家大橋は橋長が４５９・８ｍで７４年に架設された。ＰＣ３径間連続箱桁３連の９径間。

　鬼怒大橋も上下線の分離橋。下流側は５４年に架設された１車線で、トラス桁の塗装工事を実施してきた。橋長は７１５・１ｍのＲＣ５径間ゲルバート桁と鋼単純下路式ワーレントラス１１連で構成する１６径間。上流側の新橋は２車線で橋長が７１４・７ｍ。７４年に架設され鋼単純鈑桁と鋼３径間連続鈑桁４連の１３径間で構成。

　氏家大橋は１車線の分離橋で、橋長は下流が５３３・１ｍで６４年に架設。上流は５３４・５ｍで８３年に架設された。上下流とも１０径間で、下流が鋼単純箱桁１０連、上流は鋼３径間連続鈑桁と鋼４径間連続鈑桁の３タイプで構成する。

　大渡橋は橋長２０２・５ｍで６８年に架設。緊急修繕の３判定に位置づけられ、新規に設計を委託する。上部は鋼単純鈑桁５連の５径間。

　那珂川では那須烏山市に９２年に架設された２９４号山あげ大橋、渡良瀬川では７２年架設の栃木市の主要地方道栃木藤岡線藤岡大橋。橋長は山あげ大橋が２４６・３ｍのＰＣ６径間連続箱桁、藤岡大橋は２３５・１ｍの鋼単純箱桁５連の５径間で、新規に設計に着手する。

　那須塩原市では４００号の弁天大橋（８８年架設）と峠大橋（８７年架設）、主要地方道矢板那須線が蛇尾川を渡河する塩那橋（９１年架設）が設計対象。弁天大橋（Ｌ１８９ｍ、鋼２径間連続箱桁＋鋼３径間連続鈑桁）と峠大橋（Ｌ１８８ｍ、鋼３径間連続箱桁＋鋼単純箱桁）は尾頭トンネル付近で沢を渡河する。塩那橋は橋長１６５・６ｍのＰＣ２径間連続Ｔ桁とＰＣ３径間連続Ｔ桁の２タイプで構成する５径間。

　佐野市の秋山川を渡河する一般県道佐野環状線新海陸橋（Ｌ１５３・７ｍ、鋼３径間連続鈑桁＋鋼３径間連続鈑桁）、宇都宮市では田川の主要地方道藤原宇都宮線鎌倉橋（Ｌ１４７・８ｍ、鋼３径間連続鈑桁）の設計を行う。新海陸橋は００年、鎌倉橋は８５年に架設。

　跨道橋では宮環（主要地方道宇都宮亀和田栃木線）鶴田陸橋の補修設計を実施。橋長が１９０・１ｍで主要地方道宇都宮楡木線をオーバーパスし、９８年に架設した。

　道路災害防除では、日光市の１２２号砂畑と神子内が落石防止工を実施。矢板市の一般県道県民の森矢板線長井と那須塩原市の主要地方道塩原矢板線塩原で落石防止工と法枠工を行う。

　道路アンダーは宮環１２１号宮の内アンダーで、電気設備を地上に移設する。トンネルの補修では、一般県道黒磯田島線深山トンネルで漏水対策工事を実施。　このほか雪寒対策で冬期の道路維持に２０００万円、除雪には１億５０００万円を追加。雪寒対象は日光、那須塩原、那須の３市町の山間部が対象。工事は東電に委託し、日光市中宮祠の１２０号で予防伐採を行う。