静岡県熱海市で発生した土石流災害を受け、国土交通省・農林水産省・林野庁・環境省の4省庁が共同で都道府県に依頼した盛り土の総点検の結果がまとまった(3月16日時点)。対象箇所数は3万6354カ所で、ほぼ全ての盛り土について目視等による点検が完了。点検を求めた4項目のうち、いずれかの点検項目に該当する盛り土は1089カ所あったことが分かった。
内訳(重複あり)は、①必要な災害防止措置が確認できなかった盛り土が516カ所②廃棄物の投棄等が確認された盛り土が142カ所③許可・届出等の手続きがとられていなかった盛り土が728カ所④手続き内容と現地の状況に相違があった盛り土が515カ所あった。災害防止措置が確認できなかった盛り土は、必要に応じ詳細調査等を実施し、その他の箇所に関しては各法令に基づく行政上の措置が必要とされた。
総点検で確認された人家・公共施設等に被害を及ぼす恐れのある盛り土に対しては、行為者による是正措置を基本としつつ、地方自治体が行う安全性把握のための詳細調査や応急対策、盛り土の撤去や擁壁の設置といった抜本的な危険箇所対策について、関係省庁が予算措置により自治体を支援する。
また、盛り土災害の防止に向けて、関係省庁連携により危険な盛り土等を包括的に規制する法制度構築(盛土規制法案)や、建設工事から発生する土の搬出先の明確化などの取り組みを順次実施していく。公共・民間工事ともに、計画書の作成対象工事の拡大、保存期間の延長、計画書の発注者への報告と建設現場への掲示義務化を実施。公共工事では、全ての発注者に工事の発注段階で建設発生土の搬出先を指定する指定利用等の原則実施を要請するとともに、処分費の積算への計上を徹底する。