新潟県の都市計画区域再編に向けた取り組みを進めている県土木部は、このほど有識者等で構成する第2回目の懇談会(座長=中出文平長岡技術科学大学教授)を開催した=下写真=。今回は個別の都市計画区域の状況検証・課題整理や都市計画区域の区分の考え方等について協議。今後、市町村合併後の区域について、4パターンに分類して検討を進める方針が了承された。懇談会では今年度内に再編方針等に関する提言をまとめる。提言をもとに県が再現方針を策定し、平成18年度に再編案の策定及び都市計画区域の変更手続きを進める考えだ。
都市計画区域の再編が必要となったのは、市町村合併の進展で今までの行政区域の枠組みが大きく変化したことや、広域交通網の発展等により一体の都市として考える必要がある区域が変化したことが主な理由。
今回は、都市計画区域の種類及び市町村合併からみた都市計画区域再編の視点―について協議。
市町村合併後の市町村から区域を検討した場合、既存の都市計画区域指定状況や区域区分の有無、市町村合併による行政区域からの通勤・通学動向による検討が必要となる。
そこで、<1>線引き+非線引き+都計区なし<2>非線引き+非線引き<3>非線引き(+非線引き)+都計区なし<4>合併なし―の4パターンに分類して検討を進める方針が、基本的に了承された。その他、都市計画区域外の検証や旧市町村からの広域的な検証も必要であることから、これらの側面からも検討を進める。
4パターンについては今後、▽自然条件、商圏、大規模工業団地、交通網、医療福祉圏等の社会条件▽現況及び今後の開発動向の設定、他の土地利用規制による対応可否▽市町村意見―などの面で協議を進め、矛盾がない場合は都市計画区域のあり方に関する提言へ反映させる。また、必要な場合は、さらに検討を加えるなど総合的に判断した上で提言としてまとめる見通しだ。
4パターン別の市町村及び特徴、課題等は次の通り。
[線引き都市計画区域を有する市町]
▽対象=新潟圏域(新潟市、新発田市、聖籠町)、長岡圏域(長岡市、見附市)▽上越圏域(上越市)
▽特徴=<1>線引き都市計画区域を広域都市計画区域で構成していた圏域。1つの市町村に線引きと非線引き、及び都市計画区域の指定がない区域が混在している市もある<2>新潟市は5つの都市計画区域が混在。また、平成19年4月に政令指定都市を目指しており、政令市以後は、線引きが必須となる
▽課題=<1>1つの市町村に線引き都市計画区域と非線引き都市計画、土地利用規制及び建築規制に差が出てくるため、その対応が課題<2>隣接する都市計画区域との関連から今後の検討に配慮が必要<3>平地部が多く、土地利用状況があまり変わらないが土地利用規制及び建築規制に差が出てくる箇所もあり、その対応が課題
[非線引き+非線引きで合併した市]
▽対象=五泉市、燕市、魚沼市、南魚沼市、妙高市、糸魚川市
▽特徴=非線引き都市計画区域同士の合併
▽課題=<1>五泉市、妙高市は新潟圏域及び上越圏域での議論を踏まえる必要がある<2>隣接している都市計画区域との関連から検討に配慮を要する市がある
[非線引き+(非線引き)+都市計画区域なしと合併した市町]
▽対象=胎内市、阿賀野市、三条市、阿賀町、十日町市、柏崎市、佐渡市
▽特徴=非線引きと都市計画区域の指定がない市町村と合併した市町
▽課題=阿賀野市は新潟圏域での議論を踏まえる必要がある
[合併なしの市町村]
▽対象=村上市、神林村、荒川町、加茂市、田上町、弥彦村、小千谷市、川口町、湯沢町
▽特徴=市町村合併を行わない単独もしくは広域都市計画区域を有する市町村
▽課題=隣接する都市計画区域との関連から検討を行う必要がある
なお、都市計画区域の指定がない町村は、津南町、朝日村、山北町、関川村、粟島浦村、出雲崎町、刈羽村であり、今後、都市計画区域指定の実現性が課題となる。