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砂のリサイクルで建設残土に命吹き込む/ニイガタユーサイトウ

2022/04/06 新潟建設新聞

 建設発生残土のリサイクルを手掛けるニイガタユーサイトウ(齋藤均社長、新潟市)が近年、取り扱いを大きく伸ばしている。2021年度の残土引き取りは1万5000立方、大型ダンプに換算すると2300台分にのぼる。このうち再生砂としての出荷は1万立方(同1500台分)となった。

 齋藤社長は15年にシンガポールで巨大な砂の山を目にし、用途を聞いて驚く。砂を輸入していると知ったのだ。日本ではあまり注目されていないが、建設用の砂は、実は世界的に不足している――。さらに17年、観光でニューヨークの国連本部を訪れた際に「SDGs」に出会う。感銘を受け、いち早くSDGsに取り組む決意をした。

 以前から、工事で発生する残土を捨てることに疑問を感じていた。「砂ならば、リサイクルして使えるものがあるのではないか」。一念発起し、砂の再生利用に乗り出す。しかし、道のりは険しかった。なかなか品質を認めてもらえず、検査機関で粒子の密度、含水比、ふるい分析などの検査を経て、取引が軌道に乗るまでに3年を要した。

 齋藤社長によると、新潟市近郊は、掘れば砂が出てくることが多く、特にインフラは良い砂で埋めていたことが顕著。管の布設替えなどで発生する砂はとても良質だという。

 同社は、引き取った中で再利用できる砂を厳選し、ふるいにかけて、ガラなど不純物をより分ける。改良とは異なり、固化剤などを添加しないことが特徴だ。安心安全で、雨にも強い。田畑で利用できるため、近隣農家からも声がかかる。

 熱海の土砂災害は建設残土の違法盛土が引き起こした。残土の行く先がはっきりしていれば事業者としても安心感がある。加えて、残土のリサイクルは関心が高い。

 齋藤社長は「地球から採取し続けるだけではなく、視点を変えて、あるものを生かす取り組みと考えている。今後も再生砂の品質をより高めて、安定供給を目指していきたい」と話した。

【写真=砂のリサイクルセンター】

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