荒川上流河川事務所は事務所独自の流域治水ガイドライン(案)を策定した。荒川水系・埼玉ブロックの関係者が流域治水を知り、対策を行う際のポイントを既存の事例をもとに取りまとめたもの。森林の間伐、田畑における田んぼダム、市街地での緑地・湿地保全などへの取り組み事例を紹介している。
対象は県市町村で治水対策に取り組む河川・下水道管理者、関係部局のほか治水対策に関心のある民間企業や地域住民としている。
森林の間伐は雨水流失抑制抑制対策につながるもので、秩父市など1市4町が連携して私有地を集約化させ、効率的に間伐を実施。財源は市町が直接実施する場合は森林環境譲与税、林業事業体へ再委託した場合は事業体が国・県の森林助成金で行う。
田んぼダムについては、行田市が令和元年東日本台風を契機に取り組みを開始。109万立方㍍の貯留量(25mプール1816杯相当)の流出抑制が期待できる。課題として、排水口の止水操作における協力者の負担軽減策が必要としている。
市街地での緑地・湿地保全は、志木市の自然地保全の取り組みを紹介。市が土地所有者から無償で借用し、剪定や草刈りを行う事業などを面積3301㎡で実施している。当初の目的は自然環境の保全だったが、結果として流域治水に資するものとなった。
ガイドライン(案)では荒川水系・埼玉ブロックを流域特性に基づき5つのブロックに区分。それぞれの土地利用状況を①上流域(秩父市など)=森林85%②入間川流域(坂戸市など)=森林50%、田畑・市街地各20%③中流域(さいたま市など)=市街地50%、田畑30%④新河岸川流域(所沢市など)=市街地60%、田畑25%⑤流域外・荒川境界の北東地域=市街地・田畑各40%--と分析して、それぞれの流域ブロックにおける効果的な対策を提示している。
詳細はホームページ(https://www.ktr.mlit.go.jp/arajo/arajo00927.html)を参照。