富士山や甲府盆地が一望できる観光の名所、笛吹川フルーツ公園。令和元年から民間企業3社からなる笛吹川フルーツ公園マネジメントグループが指定管理を受託した。グループの代表であるアルプス(昭和町)は、数多くの公共施設の管理から得たノウハウを基に、施設のにぎわいづくりと適正な管理に努めている。指定期間の最終年を迎え、さらなるアイデアを模索。同社の竜沢恒常務と江間篤副支配人に今後の抱負を聞いた。
同社は高速道路のサービスエリアから公園、温泉施設まで幅広い施設の管理を手掛ける。現在は笛吹川フルーツ公園のほか「三分一湧水館」(北杜市)、「やまなみの湯」(南アルプス市)、「白州・尾白の森名水公園べるが」(北杜市)など10カ所以上の指定管理者になっている。管理施設では基本的に地元の食材を使うため、竜沢常務は「自分たちのがんばりが、直接地域の発展につながることがうれしい」と話す。
笛吹川フルーツ公園の管理にあたっては、公園管理のアメニス山梨(大月市)、造園業の東勝緑産(甲州市)との3社で手を組みマネージメントグループを設立。各社の目線で施設の改善策を練った。
魅力向上に向け、まずは多額の事業費を投じ、施設内を大幅にリニューアル。デザインやレイアウトを見直すとともに、扱う商材を選定。山梨特産のワインは150もの銘柄を用意した。カフェには、アルプス社のグループ企業が経営する人気店に声を掛け、その姉妹店を入れた。
本格的な肉の丸焼きが食べられるバーベキューレストランもオープン。来場者から要望があったベビールームも増設し、全トイレを洋式化。親子連れに人気の小型犬用ドッグランも新たに整備した。竜沢常務は「訪れた人がワクワクする施設にするには、どうしたらいいか」を常に考え、施設づくりに生かしている。
公園内にはモモやビワ、ギンナンなど190品種約6000本の樹木があるが、観賞用で、なった果物を食べることはできなかった。江間副支配人は「見るだけでなく、さわったり、食べたりして、山梨の果物の良さを多くの人に知ってもらいたい」との思いから、農業経験者を集め樹木を改良。販売やイベントの商品として提供できるまでに育てた。
本年度は、2023年度からの同公園指定管理者を決める県の審査を控える。同マネジメントグループは、IT技術を取り入れた施設管理、首都圏との2拠点生活を見据えた支援など、新たなアイデアを持ってアピールする構えだ。ただあらゆる施策の念頭にあるのは地元山梨の発展。江間副支配人は「県内の指定管理施設もフルーツ公園も、私たちの1番のスタンスは地域密着での地域貢献。それは今後の展開も同様。本来の設置目的を理解し、培ってきたノウハウを惜しみなく投下する」との思いだ。
【写真=竜沢常務(左)と江間副支配人】