那須塩原市は、再生可能エネルギーの地産地消による脱炭素化、災害などの系統停電時の電力供給を実現する「ゼロカーボン街区」に青木、関谷、那須塩原駅西口、那須塩原産業団地周辺の4地区を検討していることが分かった。渡辺美知太郎市長が本紙のインタビューに答えた。2022年度は青木地区の整備に着手するため、環境省の脱炭素先行地域に申請。早ければ5月にも採択される見通し。メインの道の駅「明治の森・黒磯」で青木物産センターを改築するほか、植樹マスを撤去し駐車場を再配置。電力供給先の青木小学校やサッカー場には太陽光発電設備を設置する。(3面に渡辺市長インタビュー)
青木地区には酪農家が集積。家畜ふん尿など特有資源を活用し、酪農バイオマスや木質バイオマスなど再生可能エネルギーを活用。バイオマス、小水力、太陽光発電のエネルギーミックスによる自律分散型の地域電源を確保する。家畜ふん尿処理は酪農家の課題。エネルギーに転換することで、処理問題を解決し、優良農地と緑地の保全を目指す。
コンセプトは▽再生可能エネルギー設備の導入▽自家消費▽災害時のレジリエンス強化▽道の駅「明治の森・黒磯」のZEB化。
初期段階では、公共施設における省エネルギーの徹底と再生可能エネルギーの最大導入による電力消費のCO2排出量実質ゼロを実現。第2段階では公共施設群を中心に面的に拡大し、酪農家や事業所などの停電時の事業継続性の確保を図るとした。
関谷地区は再生可能エネルギーを有効に活用し、関谷南公園の防災公園化や地域のレジリエンスの向上を図る。地域に点在する遊休農地を活用し、営農誘致の促進や週末農業などの候補地として提供。快適な居住エリアの構築を目指す。また、塩原温泉への玄関口として湯治エリアの構築、新しいワークライフバランスの先進的なモデル地区としてのまちづくりを目指す。
那須塩原駅西口地区は、駅前のポテンシャルを最大限に生かしたまちづくりを目指す。気候変動や災害にも対応できるレジリエンス向上に加えて、新型コロナウイルスに適応した新しい生活様式と那須野ヶ原の魅力である高原リゾート・ロイヤルリゾートなどの観光エリアのフロントギアとしての役割を持たせる。ライフ&ツーリズムをテーマに、地域に調和した再生可能エネルギーを導入するとした。
那須塩原産業団地周辺地区は、企業のESG需要のニーズに応えた次世代型産業団地を目指す。電力は市内再生可能エネルギーから供給。畜ふんバイオマス発電や木質CHPとのエネルギーミックスで再生可能エネルギー100%の電力・熱を供給し、企業誘致につなげる。災害時には大規模な自立型電源供給エリアとして、包括的な防災拠点の機能を果たすとした。