国土交通省利根川水系砂防事務所は2022年度の事業概要を明らかにした。事務所の全体事業費は42億7100万円。うち、砂防事業は直轄砂防事業と直轄火山砂防事業を合わせて、23億1400万円を計上、小滝沢などで事業を推進する。
このほか直轄火山砂防事業は浅間山単独で、16億700万円、直轄地すべり対策事業に3億5000万円を盛り込んだ。
主な事業は次のとおり。
【浅間山直轄火山砂防事業】
嬬恋村において小滝沢砂防堰堤、地蔵川砂防堰堤群、濁沢砂防堰堤群などの整備を実施する予定。このほか、長野県小諸市でも堰堤整備を進める。同事業は平常時に基幹的な砂防堰堤を整備するとともに、噴火の前兆現象や噴火が発生した場合への対応を行うもの。緊急時の対策として、コンクリートブロックなどを使用した砂防堰堤および導流堤を整備することで被害の軽減を図る。
【直轄砂防事業(川浦床固群)】
高崎市烏川流域で、河床・渓岸を安定させ不安定土砂の二次移動を抑制し、流域内及び下流域の土砂・洪水氾濫の防止を図るため、床固群の整備を行う。
【直轄火山砂防事業(振子沢砂防堰堤)】
草津町で振子沢堰堤整備を実施する。砂防堰堤の工事を進捗させ、吾妻川流域の土砂災害に対する安全度向上を図るとともに、付近の国道292号や下流域を土砂災害から保全する。吾妻川流域は浅間山、草津白根山の火山噴出物による脆弱な地質と急峻な地形により、上流域からの土砂生産が著しく多量の不安定土砂が堆積している。
【直轄火山砂防事業(片品上流第二砂防堰堤)】
片品村において、片品上流第二砂防堰堤等の整備を計画。日光白根山の脆弱な火山性地質で覆われており、急峻な地形のため、産地崩壊などにより荒廃が進行。これらの土砂流出を抑制し、発電施設や交通の要である国道401号線を保全するため、砂防堰堤を整備する。
【譲原地区直轄地すべり対策事業】
藤岡市で地下水位の低下を図るために、22年度は集水井工等の整備を予定している。同地区は1962年に地すべり防止区域に指定されており、91、92年の集中豪雨により滑動が活発化している。95年度から直轄事業として実施しており、面積は100haと大規模な面積となっている。今後も地すべり発生の誘因となる地下水の排除や浸透防止を目的として、事業を推進する。