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千葉県多古町

空港との共生・共栄/複合エリア開発や道路網整備等/平山富子 多古町長インタビュー

2022/04/15 日刊建設タイムズ

 2月6日投開票の多古町長選挙で4114票を獲得し、初当選を果たした平山富子氏が単独インタビューに応じた。2028年度末の成田国際空港のさらなる機能強化に伴い、空港との共生・共栄を掲げており、雇用の創出や移転者の支援を進めるほか、空港へのアクセス道路網の整備として、町道南玉造線と町道鷹の巣・二本松線を整備する。空港の隣接地には複合エリアの開発を推進する方針を示し、そのための企業誘致や住宅地の整備を目指すとした。

 

 ――就任にあたっての抱負を聞かせてください。

 

 平山 「町民一人一人の声を大切にした透明性ある町政」を訴えてまいりましたので、就任以来、町民の皆さま、各種団体、成田空港関連の企業・団体、近隣市町長とできる限りお会いし、意見交換に努めてきました。誰もが住み続けたいと思える町、誰もが活躍できる町づくりに全力で取り組んでいきたいと思います。

 

 ――多古町への想い、印象などを教えてください。

 

 平山 多古町に住み続けて60年以上になります。栗山川や田園風景、千葉氏が治めた山城、松平家の多古陣屋跡、僧侶の大学と言われた日本寺など、改めて自然・文化・歴史・人の温かさに恵まれた町だと実感しています。また、澄んだ水を生かした多古米や、大和芋などの特産物もあり、農業も盛んな地です。しかしながら少子高齢化が進み、3月末時点の人口は1万3980人となりました。移住・定住の政策や関係人口の創出にも力を入れていきたいと考えています。

 

 ――成田空港の「さらなる機能強化」を生かした事業に関してはいかがでしょうか。

 

 平山 24年度末には首都圏中央連絡自動車道の大栄ジャンクション~松尾横芝インターチェンジの開通、28年度末には成田国際空港の機能強化の一つであるC滑走路の整備・供用が予定されています。空港に隣接する多古町としては、空港との共生・共栄を掲げ、企業誘致、雇用の創出、移転者の支援対策を推進していきます。

 空港へのアクセスのための道路網整備として、町道南玉造線、町道鷹の巣・二本松線の整備を進めます。空港周辺には県道もありますので、県の協力が不可欠と考えています。

 成田空港の隣接地において複合エリアの開発を進めます。そのため、企業誘致を念頭にNAAや県・国とも連携し、企業用地だけではなく、住宅地も整備していきます。

 また、移転者や騒音地区の皆さまが多古町に残っていただけるよう、関係機関と連携を図ります。今後の開発が期待されている多古台JRバスターミナルに隣接する町有地について、NAAに移転者用地として譲渡させていただきました。新たに移転者用地が確保できましたら、建設業界の皆さまに力を貸していただければ幸いです。

 

 ――民間と連携した観光拠点整備について聞かせてください。

 

 平山 観光拠点として常磐小学校跡地を民間へ貸し付けており、グランピング施設の整備を進めていただいています。グランピング施設に地域農家が食材を提供することで、地産地消を推進します。また、周辺市町と連携し、成田空港近辺に観光拠点が整備できないか検討しています。そのために何が必要なのか、研修を進めている段階です。

 

 ――そのほか、力を入れたい事業など教えてください。

 

 平山 県下トップクラスといわれる子育て支援政策の「待機児童ゼロ」「給食費ゼロ」「大学生まで医療費ゼロ」を継続するほか、障がい者・高齢者・女性・若者への支援政策を拡充していきます。また、活力ある農・工・商業として後継者の育成、多古町産品の6次産業化を進めます。特産品である多古米を守るためには、農地の基盤整備による集約化が不可欠です。そこに通じる道路の整備、排水事業等について、建設業界の皆さまに力添えをいただければと考えております。

 

――地域の建設業への期待をお願いします。

 

 平山 災害発生時には、被災箇所の復旧など多大なる力添えをいただいており、本当になくてはならない業界であると認識しております。公約に挙げている「成田空港との共生・共栄」のためには、町道の整備、空港隣接地の整備が重要となり、建設業界の皆さまの協力が不可欠です。今後とも町政に力添えいただければ幸いです。雇用の促進や地域経済の活性化のため、町としても後継者の育成などの支援に取り組んでまいります。

 

 ――趣味・信条などを教えてください。

 

 平山 書道を趣味としていますが、最近は落ち着いた時間を確保することが難しく、書く時間が少なくなったのが悩みです。

 モットー・政治信条は「至誠一貫」です。母校の校訓である「至誠・剛健・快活・高雅」で培われた精神です。高校時代のテニス部の経験、そこで培った精神力や友情が今の自分をつくっていると感じています。町民の皆さまに対しても「至誠」を貫く所存です。

 

【略歴】

 ひらやま・とみこ

 1959年2月17日、多古町生まれ。79年3月、青山学院女子短期大学国分学科卒業。同年4月、香取管内中学校勤務。2015年4月から多古町立小学校2校の校長に就任し、19年に退職。同年から多古町教育委員会職員を務め、22年1月20日に退職。同年2月6日、多古町長選挙で初当選を果たした。

平山富子町長

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