建設資材価格の上昇が止まらない状況が続いている。新型コロナウイルス感染症の影響を背景に、木材や半導体価格が上昇。これを皮切りに世界的な資材不足へ陥ると、昨今の石油価格の高騰に加えロシアのウクライナへの侵攻により、資材単価の上昇に歯止めが利かない状態だ。
先日公表された経済調査会の調査結果によると、東京地区におけるH形鋼は、前月比で5000円上昇の11万5000円、異形棒鋼に至っては前月比1万円上昇の1tあたり11万1000円と大幅に上昇している。また、アスファルト合材や生コンクリートの値上げなども相次いでいる。
さらに、コロナ禍で発生した半導体不足も解消されていない。その影響で、住宅設備の品不足が続いており、エコキュートなどの商品がひっ迫している状況。
県内業者への影響は見逃せない状況となっている。ある総合建設業者は「民間建築に対する資材高騰は影響が大きい」と話す。過去に見積もりした案件は、現状の市場価格と乖離が生まれているため、見積もりの見直しをお願いをすることもあるという。しかし「値上げ分は身銭を切って負担することもある」と、実情は非常に厳しい状況だ。一方で、公共事業における資材価格の上昇は、労務単価や管理費の引き上げにより現在ではそれほど影響がないと話している。
民間設備関係に目を向けると、半導体不足の影響による給湯器などの品薄状況は引き続き続いている。民間工事を手掛ける建設業者は、こうした設備に加えて塗料やクロスなどさまざまな資材が値上がりしていると不安の声を漏らしており、見積もりの見直しが発生し工事に遅れが出る場合も見られるという。
建設資材を扱う業者にとって資材単価の高騰は非常に大きな問題となっている。流通段階で資材の価格を全て顧客に転換することができないため、一部で負担を補っている状況だと話す。今後、価格の下落が見えてくると、値崩れなどの問題が出てくる。高騰した資材を大量に確保した後に価格が下落した場合、保有している在庫は市場価格に合わせなければならない状況も見込まれるため「価格が下落する時期を、的確に見極めなければならない」と頭を抱えた。経済制裁としてロシア産の一部木材の輸入を政府が禁止に踏み切ることを決定し、さらなる木材価格の上昇が予想される。