県廃棄物政策課は、県内に残置されている産業廃棄物である硫酸ピッチのうち、漏洩等のおそれのある4か所、ドラム缶271本の硫酸ピッチについて、県環境資源保全協会の「環境保全保証基金事業」により撤去を行うこととし、24日には沼田市大原に残置されている41本の硫酸ピッチの撤去を開始した。
当日、作業開始前に行われた開始式で、同協会の城田裕司会長は「現在、石油が高騰しており、今後も軽油の密造、そして硫酸ピッチの不法投棄がさらに増えてくる心配もあります。今回のような作業を機に、不法投棄の撲滅に努めていきたいと思います」とあいさつ。続いて、県廃棄物政策課の須田栄一課長は、「硫酸ピッチは、非常に危険な廃棄物です。今回、協会の協力により撤去出来ることは大変ありがたく、また安全で安心な暮らしのための有意義な活動と思います」とし、最後に無事故での作業終了を祈念した。また、県利根環境森林事務所の川畑正史所長は、「我々は日々、自然環境の保全についてがんばっているが、そのような中に不法投棄された事は非常に残念です。今回の事業により、撤去される事は大変ありがたい気持ちです」と述べた。
その後、作業に移り、放置されている硫酸ピッチの一部の搬出と劣化したドラム缶からの移し替えが行われた。作業は、防護服と防護マスクに身を包んだ作業員の手で慎重に行われ、ドラム缶の撤去が無事に終了した。
群馬県では14年以降、各地で硫酸ピッチの不適正処理が頻発しており、これまでに10件579本を確認している。硫酸ピッチは、軽油を密造する際に発生する副産物の1つで、強酸性で強い腐食作用を持ち、水分と反応すると人体に有害な亜硫酸ガスを発生させる非常に危険なもの。今回のような活動を通して不法投棄の撲滅へつながる事を期待したい。