大宮GCSの進展賭す
事業展開まで周到に検討
4月1日付で就任したさいたま市の篠崎靖夫都市局長が建設専門各紙のインタビューに応じ、「持続可能」「災害に強い」まちづくりに向けた主要事業の見通しを語った。大宮駅グランドセントラルステーション(GCS)化構想に基づく駅東口広場再整備などの2023年度の都市計画手続きを目指し、関係者との合意形成などに注力する決意を示した。
=ここまでリード=
――数ある政令市の中で、さいたま市には勢いがある
篠崎 市は人口が133万人を超え、民間の住みたい街ランキング(首都圏版)で大宮・浦和がトップ10に入っている。それでも、2030年には人口減少が予想されている。首都直下地震の可能性も指摘され、市民生活の安心・安全を守るための要請は尽きない。
人口減少下において、都市間競争を勝ち抜き、建物更新を防災・減災につなげるためにも市内都心部の整備は必須だ。大宮駅周辺を対象に交通基盤整備、駅機能の高度化などを一体で進める大宮GCSの進展へ、必要な合意形成を急ぐ。
――現状の検討課題を
篠崎 都市計画(23年度目標)の手続きに入るためには、現状の車両交通の処理、動線などの考え方を今以上に精査しなければならない。施工ヤード確保を含めた事業展開も整理していく。同時に、周辺街区で計画されている民間再開発をしっかり成立させる支援に気を配る。駅改良に取り組む鉄道事業者(JR東日本、東武鉄道)との詳細検討のペースも上げる。
――本庁舎のさいたま新都心移転に欠かせなかった改正位置条例が市議会で可決された
篠崎 今後は現庁舎用地の活用や移転先のまちづくりに大いに関わる「(仮称)浦和駅周辺まちづくりビジョン」策定と、「さいたま新都心将来ビジョン」改定を22年度末までに行いたい。
――国による大宮駅西口交通結節点(バスタ大宮)の計画も注目される
篠崎 施設機能・規模などの検討に積極的に連携・関与していく。適地については、新たな交通結節点が地域の課題にどう寄与するかといった観点から選定する必要があるだろう。影響と効果、アクセス性、交通負荷などの度合いを見極め、国と一体で取り組む。
――市営桜木駐車場の用地活用については
篠崎 開発事業者の公募手続きを準備しているが、コロナの影響がどの程度民間に及んでいるか、もう少し慎重に検討したい。世界情勢的に資材価格高騰が続く局面でもあり、適切な時期に公募開始する。
――コロナ下の生活様式は都市の課題を浮き彫りにした
篠崎 直面する人口減少社会を先取りしてシミュレーションしている、との見方もできる。コロナ下の課題を解決できずに、人口減少の課題も対応できない。具体的には「コンパクト+ネットワーク」をテーマに、立地適正化計画、コミュニティバス、AIデマンド交通の在り方などの検討に取り組む。
――建設産業との協調について
篠崎 大規模災害が多発する中、測量・調査・設計・工事などを担う建設産業は地域の守り手として再認識されている。発注者として、安定的・持続的な事業量の確保、公平性・透明性のある競争環境の創出に配慮する。建設産業各社には、受発注者間の適切なコミュニケーションを保った中で、若手職員に技術的なアドバイスをいただけたらありがたい。
【略歴】 しのざき・やすお 1987年武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部土木工学科卒、民間企業を経て89年旧大宮市入庁。都市局都心整備部次長、同都市計画部次長、同都市計画部長兼都市戦略本部副理事を経て4月から現職。58歳。