危険な盛り土などを全国一律の基準で包括的に規制する、宅地造成等規制法の一部改正案が成立した。昨年7月に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害を踏まえ、既存の法律を抜本的に改正して法律名を「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称・盛り土規制法)とし、土地の用途にかかわらず必要な規制を行う。法改正により、今後は都道府県知事らが宅地、農地、森林などの土地の用途に関係なく、盛り土等により人家等に被害を及ぼし得る区域を規制区域として指定するほか、農地・森林の造成や土石の一時的な堆積も含め、規制区域内で行われる盛り土等を許可の対象とする。
安全性確保に向けては、盛り土等を行うエリアの地形・地質に応じて、災害防止のために必要な許可基準を設定。許可基準に沿って安全対策が行われているかどうかを確認するため、施工状況の定期報告、施工中の中間検査および工事完了時の完了検査を実施する。
責任の所在の明確化では、盛り土等が行われた土地について、災害防止のために必要な時は土地所有者だけでなく、原因行為者に対しても是正措置などを命令できることにする。
さらに、実効性のある罰則措置に向け、罰則が抑止力として十分機能するよう、無許可行為や命令違反に対しては、個人の場合は3年以下の懲役または1000万円以下の罰金、法人には3億円以下の罰金を科す規定を設けた。
盛り土規制法は、国土交通省と農林水産省の共管法とし、両省が緊密に連携して対応することとし、両大臣は盛り土等に伴う災害防止に関する基本方針を策定する。