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建設業労働災害防止協会長野県支部

死者増「異常事態」/安全教育の徹底を/代議員会

2022/06/01 長野建設新聞

 建設業労働災害防止協会長野県支部(木下修支部長)は5月30日、第59回代議員会を長野市のメルパルク長野で開催し、2022年度事業計画などを承認した。任期満了による役員改選では木下支部長を再選。木下支部長は、今年に入り県内で建設業の労働災害により5人の死者が出ていることについて「異常事態」と警鐘を鳴らし、現場の安全管理体制の確認とともに、従事者に対する安全教育の徹底を呼び掛けた。

 木下会長はあいさつの冒頭、先月発生した知床観光船事故に触れ「多くの手抜き、怠慢により、起こるべくして起きたと言わざるを得ない。一方で、われわれはどうか。現場の安全管理は現場代理人に頼るところが大きい。力量はあるか、十分な安全教育をしているか、携帯電話が通じない山中ならば衛星電話を用意してあるか。そういったことを一つ一つ考えると、非難ばかりはしていられない」と述べ、重大事故を他山の石とするよう求めた。

 続けて「県内建設業の労災死者数は一昨年が2人。しかし、昨年は7人。そして、今年に入りきょうまでに5人が亡くなっている。これは異常事態。特に重機災害が多発している。事故事例を見ると原因は高齢化ではない。作業員の危険予知能力の低下か、あるいはコロナ対策によるマスク着用に伴うヒューマンエラーか。いずれにせよ精神論では解決しない。原因を分析し対策を講じる必要がある。皆さんには現場の安全確認はもちろん、技能者・技術者に対する効果的な安全教育を行ってほしい。また分会の安全パトロールでは、第三者の目で、現場の担当者が気付かない点を注意してほしい」と求めた。

 そして「安全管理にゴールはない。皆、幸せな生活を送るため働いている。労働により命を落とし大切な人を悲しませるのは本末転倒。経営者は現場が動いている限り気が休まることはないが、従業員の命と幸せな生活を預かるという重責に耐え頑張ってほしい」と鼓舞した。

 1年間死亡事故ゼロを達成した分会をたたえる支部長表彰では、21年の実績で14分会中、南佐久、佐久、上小、諏訪、伊那、木曽、松筑、安曇野、更埴、須坂、長野、北信の12分会が受賞。代表して北信分会の藤巻篤氏が木下支部長から表彰状を受け取った。

 会には来賓も多数出席し晴れの日を祝った。長野労働局の紀伊洋一労働基準部長は「第13次労働災害防止推進計画の最終年である今年、『労災による死亡者を、悲しみをゼロに』を合言葉に、安全衛生対策を一丁目一番地の施策として取り組む」、県の小松誠司建設部次長は「昨年、県の建設工事における労働災害は過去10年間で最多となり、死亡事故も2件発生する異例の事態となった。県としても管理職による現場パトロールを緊急で実施するなど安全対策の徹底に努めている。これから本格的な梅雨期を迎え、作業環境が一段と厳しくなる。協会と連携を強化し労災防止に努めていきたい」と述べた。

 新役員は次のとおり。(敬称略)

 ◆支部長=木下修(木下建工)

 ◆副支部長=清澤由幸(清沢土建)、依田幸光(木下組)、唐木和世(廣瀬建設工業)、福原初(サンタキザワ)

 ◆常任理事=丸山悦二郎(南佐久分会長、丸山工務店)、松本知雄(佐久分会長、松本組)、佐藤公明(上小分会長、羽田組)、宮坂好史(諏訪分会長、興和工業)、桃沢傳(伊那分会長、田島建設)、長坂亘治(飯田分会長、三六組)、大沢謙一(木曽分会長、名工土木)、深澤信治(松筑分会長、フカサワイール)、降幡真(安曇野分会長、山共建設)、郷津順一(大北分会長、小谷建設)、中沢栄一(更埴分会長、冨士建設)、山﨑喜彰(須坂分会長、須坂土建工業)、飯島泰臣(長野分会長、飯島建設)、藤巻篤(北信分会長、藤巻建設)

 ◆監事=春原文浩(春原建設)、棚田稔(長豊建設)、高宮善郎(高宮組)、美谷島寿一(日本綜合建設)

 ◆特任理事=大月昭二(県建設業協会)

 ◆専務理事=小林康成(県建設業協会)

 ◆常務理事=手塚雄保(県建設業協会)

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